駄作

バブみ道日丿宮組

お題:純白の駄作 制限時間:15分


駄作

 文字を並べれば文になって、それが行になって列になってとか。

 そんなことをいちいち考えていれば、当然ながら手は動かない。コピペにコピペを重なれば、文字数はクリアできるだろうが、中身がないしいびつさが増す。

 大学のレポート程度のものだから、どうせ見ないだろうとかいう甘い考えはできない。なにせ、再提出をくらったクラスメイトがいるのだから。

 評価もそれなりに渋い。未だにB以上の評価をもらった生徒がいないとかっていう噂だ。

 教授がわからないようにいっそのこと文章のレベルを上げてみるべきだろうか?

 英語にしたり、ロシア語にしたり、韓国語にしたり。

 いろんな言葉を混ぜれば、レベルアップしてる感は強い。オシャレ感が抜群だ。

 とはいえ、読み返すことができないので手間は一層強くかかる。間違いをしたら、どこがどう間違ってるのか判断できない。つまりは母国語以上に優れたものはない。

 それに今の時代はタブレットで触れればその文章は自動翻訳されるのが普通。だから、昔以上の手間はかからない。辞書をひくという時代はとうに終わってる。

 教授もおそらくそのパターンで読んでくるに違いない。

 デジタルだから、どこかから持ってきたのかはかんたんではないが調べがつく。オリジナルを要求されてるのだろうが限度がある。無駄に進化した結果、調べるということは答えが出てきしまうのだ。


 そうして何度か思考を繰り返してやっと出来上がったのが、駄作とも言えるレポートだ。


 誰かに読んでもらって内容を精査してもらうのがいいのだろうがそんなめんどくさいことに付き合ってくれるやつはいない。代わりに自分のを見て欲しいと言われたらめんどくさい。

 ため息をついてる暇はないだろう、とメールを送信する。

 これで今日の課題は終了だ。

 単位が取れるかどうかはわからないが、現状できる限りの感想を書いたつもりだ。教授が行った授業に対する感想、レクチャー、補足。

 それがレポートの内容。

 とてもじゃないが、大学のレポートとしてふさわしいものではないだろう。

 とはいえ、感想を書くだけで単位が取れるというのなら、書く以外の選択肢はないだろう。


 そうして、1時間後に再提出の連絡が返ってきたのだった。

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駄作 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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