夏から冬

バブみ道日丿宮組

お題:清い秋 制限時間:15分


夏から冬

「秋は夕暮れ」

「どうしたのに急に? 俳句にでもめざめた?」

「そんなことはないかな。なんていうか、秋らしい秋が最近きてないような気がしてね」

「夏から急に冬になるよねぇ。過ごしやすいってのは最近ないね」

「そうでしょ。だからこそ夕暮れぐらい秋を感じないかなって」

「ふーん、なるほどね」

「服装もさ、Tシャツ一枚からなかなか変化ないんだよね」

「寒くないの?」

「寒いって思って上に羽織った次の日は夏だからね。逆に荷物になっちゃうんだよね」

「わからなくもないかな。でも、肌をそのまま陽に晒したらよくないし」

「うちはあんまり気にしてないかな」

「男子はそうだろうね。というか、女子にしか見えない男子がそんな格好してたら、露出狂かと思われちゃうかな」

「うちは男なんだから、いいでしょ!? た、たしかに警察の人に子供のためにならないとか言われたことあるけど……男なんだよ」

「半ズボンはいても、女の子に見えるよ。むしろふとももむちむちのえっちな娘に見えるよ。ずるい」

「ずるくない。長ズボンは苦手なんだからしかたないじゃん」

「寒くないの?」

「スースーするかな。最悪ストールをズボンに巻くよ」

「普通しないやり方」

「半ズボンは便利だから!」

「格好が夏よねぇ。もうちょっと冬よりにしないと」

「スカートもいいよね。足が自由になるし、もふもふする」

「そうやって女性っぽい格好するのも疑われる理由の1つだろうね」

「他の国じゃ履いてる人いるよ? まぁこの国じゃ履いてる人めったにいないけど」

「あっちはあっち、こっちはこっち。ふさわしい格好っていうのがあるのだから」

「じゃぁセーラー服でいいかなぁ。可愛いし」

「男の子に見られたいなら止めたほうがいいよ」

「利便性は大事、なにをするにも便利じゃなきゃ駄目だよ」

「そこまでいうならなにもいわないけど、ナンパされても助けないからね?」

「それは困るよ。男だっていっても信じてくれないんだもの。君みたいな理解者が側にいなきゃ、僕は女の子に見られるんだい」

「だから、それをやめればいいんじゃないかなぁ」

「やめられないから、しょうがない」


 そうして二人は講義棟へと歩いていった。

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夏から冬 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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