近づく船

バブみ道日丿宮組

お題:進撃の船 制限時間:15分


近づく船

「あの船だんだんと近づいてきてない?」

「んー、どうだろう。気のせいじゃない?」

「絶対近づいてるって!」

「船は移動してるし、追いつきかけてるんじゃない?」

「この船そんなスピードでないよ。絶対やばいやつだよ!」

「興味ないフリしてたの?」

「今はそんなこといいから! どうしよ……なにか武器になるものないかな」

「追突されるんだったら、もはや武器なんてあってないようなものだと思うんだけど」

「ぎりぎりで突入してくるかもしれない!」

「そんな映画みたいなことが起こるような気はしないんだけど」

「現実に海賊はいるってニュースでやってたよ! だからきたくなかったの!」

「確率低いと思うけどなぁ。入ったビルが急に火事になるくらいの確率だと思うよ」

「現実を見て! 船が進撃してきてるの! どうにかしなきゃいけない」

「どうにかはきっと船員さんがやってくれると思うんだけどなぁ。だって、向こうはプロだよ。海賊なんてアマチュアに負けないと思うんだ」

「海賊のプロかもしれないじゃない」

「……そんなプロあるかなぁ」

「スリのプロ、覗きのプロ、射的のプロ、昼寝のプロとかたくさんあるでしょ!?」

「……よくわからないかなぁ」

「落ち着かないで! 慌てよう!」

「慌てる方が危ない気がするよ。大丈夫だよ。君は僕が守るからさ」

「そ、そう……? な、ならいいかな」

「……単純思考で助かるよ」

「なんか落ち着いてきたら、試験勉強したくなってきた」

「帰ったら、ちょうど試験期間だね」

「数学わからないところあったんだ。教えてもらっていい」

「いいよ。じゃぁ船室に戻ろうか。島につくまで復習しよう」

「そうね。それがいいわ。勉強道具持ってきてよかった」

「まぁ……試験前に旅行するのが間違いだと思うんだけどね」

「そうしなきゃみんなに注目されちゃうから」

「なら、仕方ないね。うん、仕方ないよ」

「船室に戻る前に飲み物とお菓子を買いましょ。楽しくなってきた」

「そうだね。君といるのは驚きの連続で楽しいよ」

「あなたの好きなきなこもちがあればいいのだけど」

「それはもうお菓子じゃなくてご飯だよね? 好きだけどさ」

「行きましょ」

「うん」

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近づく船 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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