6. エスケヱプ・スピヰド
SFものですが、段落分けがとても丁寧で、通勤中でもチマチマ読みやすいです。
ストーリーは、キャラクターの抱える問題点と挫折そして成長がきっちり書かれている、お手本のような作品でした。
とにかく映像を再現する筆力は圧倒的で、バトルをしっかり描きたい方にとっては、たいへん参考になるのではないかと思います。
今まで読んだ中では一番するりと読める文章でした。個人的には川原礫よりストーリーに没頭できたような気がします。
しかし電撃の字体は太めなので、こう印刷面を埋め尽くされていると逆に読みづらいと感じてしまいました。作家さんのせいではないんですが。
難読漢字の使用はありますが、書き手の癖やエゴが感じられない、書き言葉らしい文章だと思いました。
SFのようにハードルが高いとされるジャンルほど、こういう文章で書いてくれるほうがいいと思います。世界観の理解のほうに手間取るので。
エゴを感じる文章とは、私の中では、体言止めと記号(ダッシュや三点リーダ等)を多用する文章のことです。カッコいいんですが、読み手の時間と視点を操作する表現法だと私は考えていまして、ここぞという場面にだけ使ってほしいのですよね。
『流れる文章』をどう捉えるかは人によると思いますが、技法は、それなりに効果があるから技法なのだと思っています。
欠点を挙げるとすれば、やや引きが弱いところ。石橋を叩くような丁寧な作りをしているぶん、スピード感が損なわれているのかもしれません。
また、一冊での完成度が高く、この先戦うべき敵の暗示がなかったため、(私は)続きがあまり気にならなかったという点でしょうか。
(2021.5.5読了)
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