第70話

「私は意地でも!ユート居る……!」


私はユートに直進していった。


なりふり構わず、


ただ………………


手錠の鎖を振るい風をかき分け水を弾き前に進みたいと一歩。


ただ…………………


どんなに後ろから前から右から左から


ただ……………………


我武者羅に何も考えなくて何も考えたくなくて一歩一歩足を踏み入れて見えたのは


「………………ったくよ。嫌になるぜ。」


今までで一番認めたくない顔が

今までで一番汚い顔が

今までで一番彼を愛していない顔が


彼の瞳を通して映っていた。


「後ろの兵士たちみたいに俺は成りたくねえから王都にはいかない方が良いのかね?」


「一応あなたの友達なんだから少しは友達付き合いはしておきなさい。」


「なんだよピグミー俺の親じゃないだろ?」


「これでもあなたのお母さんの前世を持っているんだから親も同然よ。」


隣に写された彼女の姿は誰よりも彼のことを愛していると確信した

誰よりも綺麗で

誰よりも自分自身を認めている女の人が写っていた。


だから諦められると思った。

思ってしまった。

思ってはいけないと思っていた。

じゃあ今までの思いは何?


わからない、

わからない、

私はあんなにあんなにあんなにあんなに

愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに愛していたのに

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

今はユートのことが愛おしいと感じられないの?


もう私は勇者に成れないだから堕ちよう。


人知れず涙の雫が零れ落ちていくとき。


「あらあら、愛を語るんだから恋をしているものだと思ったけど恋をするのは初めて?私の息子を愛しするのは勝手だけども恋をしないで愛するのは家族だけよ。」


堕ちようとしていた自分が馬鹿らしくなる一言が私を現実に引き戻した。


私は初めて恋を実感できた。

今までの愛とは違った。

愛おしいんじゃない。

もっとドキドキして目を合わせると逸らしたくなるんだ。

自分に足りないものを持ってるユートが眩しくてカッコいいんだ。

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