第59話

「ラピスおばあちゃん!今から王子殴ってくるから稽古つけて!」


「おや?」


「学園にいるより早くユートを見返してやりたい!」


というのは健全でもちろんユートの開拓を手助けして満足させて結婚するためだ!

私の幸せ結婚生活計画の妨げになるのなら悉くを凌駕し悉くを滅ぼしてやる!


「その割には顔が何が何でも手に入れようとする乙女の顔ね。」

「あの男に惚れていった女たちそっくりだ。」

「じゃあ近起りそうな戦争のための下準備をしようか。」


私は戦争のための準備をしていく。

先ずは隣国の留学生やガキ王子をせんの…教育したが惚れられてしまった。

私にはユートしか靡かないというのに厄介な。


それからユートに頻繁に手紙を送ってみてはいるが一向に連絡も来ない。

村長に手紙はきちんとわたっていて渡しているとの旨も届いている。

でも返事が一切来ない。


まだ開拓が忙しいとは思うけど遠い幼馴染のことを気にかけるほどの余力も無いのかもしれない。

それだけ開拓に苦労させているからこそこの戦争は意味がある。

ちょくちょく村からも手紙が来たがユート宛て出ないことを知るとすぐに興味を失っていった。

村長からも稀に来たのだがそのころから自分のことばかりでいっぱいいっぱいになってしまい読むことをしなかった。

この時私は村長からの手紙の内容を知る由も無かった。


不毛の土地を開拓するだけの目途がたった。


その内容の手紙を寄越したのは私と学園長とラピスおばあちゃんだけだったことも知らない。

ユートがやたらこちらの現状を言ってくるものだから寂しくなったのかと勘違いして村長に自分で送るのは面倒だから村の現状だけでも教えようとしたことを知ることができなかった。


手紙に気づかないまま1年また1年と年月だけが過ぎ去っていく。

厳しい訓練をしていても食べ物を一度目にすればユートはもっと大変なんだと、いずれ結婚する私がこのくらいでへこたれてどうすると喝を入れなおしていく。

そんななかクソ王子は私に結婚を迫っていくがウザい以外の何物でもない。


私にとってたった一度、たった一度しかないチャンスをものにすれば永遠の幸せを手にすることのできる勇者の適性はずっと語りかけていた。

全ての身を委ねることはせずにただ、ただユートに一目見てもらえるような女性になりたかった。

そう思い続けて10年経った頃戦争が始まった。


この時、私は思いもしなかった。

勇者の私よりも勇者らしい幼馴染の姿が今までの誰よりもかっこよく見えるなんて。


「ちょっくら喧嘩しに来たぜ。国王陛下。」


戦場に農具を持って我が物顔で闊歩する彼らにすこし嫉妬した。


なんせ、初恋の最愛がさらにかっこよくなったのにそれにベタベタしているのがスライムなんだもん!

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