第55話

「流石はルチアちゃんの娘さんね。確かルチアちゃんの時は私のモノをビンタしていたものね。」


試験官を叩きまくっていると後ろからお声がかかった。

この声をかけた人もそびえたつ大きなモノを持っているようでムカつく。


「あらあら、二人から殺意が感じられるわね。」


その壁は、

壁というにはあまりにも大きく、

分厚く、

重く、

そしてあまりにも神々し過ぎた。


まるで山のような分厚さを誇る壁、対して自分のは薄い防壁も良いところだ。


彼女は肌が雪のように白く鏡ですらかすんで見える銀色の髪をなびかせていた。


「うふふふ、勇者ちゃん安心しなさい。

 あなたのお父様の血筋が確かな豊満で私みたいな美ボディに成れると思うわ。」


「ほんと?」


「本当よ。ほらあなたのもう一人のおばあちゃんが来ているわよ。」


お母さんたちの方向を指さすと白髪の一切ない村に居たお母さんのおばあちゃんとは違う若さを保った女性が見えた。


「あなたのおばあちゃんは私と同じエルフなの。あなたにも多少なりともその血は流れているし豊満な身体になると思うわよ。」


ふっふっふ、悩殺ぼでぃになれたなら畑より魅力的になれるかもしれない。

その時はぐへへへ。


「あらあら、本当に勇者は恋する乙女ね。淑女になることは無いのかしらね。」

「ユーリ、私の孫とそろそろ話させてくれないかね。」

「はいはい、ラピスはせっかちね。まあ初孫だし可愛いのも無理はないけど。」

「こちとら人間のおばあさんの方に6年も譲ったんだから少しぐらいせっかちになってもしょうがないでしょう?」


青髪の私の祖母と紹介された人は間近で見るととても綺麗な女性だ。

エルフは若々しいまま生き、この世を去ると言われている存在で見るのは初めてだと思っていたけどお父さんがエルフの血筋だなんて思いもしなかった。

だってお父さんは最近目元に皺が寄り始めているんだもん。


「アハハ、お父さんの方が皺が寄ってるかね。まあ、この子は森に居なかったからね。しばらくすれば皺も無くなるさ。」

「森?」

「あまり知られていないがエルフ種は自分の精霊と親和性の高い土地に居ないと若さを保てないのさ。私は水、そしてマリアンヌのお父さんであり私の息子でもあるダースは木さ。」


不毛の土地に木は無いので若さを保てないのも頷ける。

でもひとつ気になることがあった。


「じゃあ不毛の土地で若さを保てるエルフは居るの?」

「あそこは無理かね。精霊が全く見えないし私たちの先祖の故郷と呼ばれる土地だから何とか再生できないかと工面している同族も居るようだけど総じて土地を離れてしまっている輩が大半さ。あそこみたいな砂漠にも精霊は居るけど砂の精霊と親和したエルフは黒くなるのは確かにいる。けど不毛の土地は無理さ。」

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