第5話

「もんってお前スライムの上位種は勇者を倒すくらい危険なんだぞ。」

「勇者?マリアンヌのこと?でもマリアンヌは口だけだよ。」

「そうそういつもツンツンしてて素直になればワンチャンいけそうなのにって思うくらいツンツンし過ぎて返り討ちにあってるマリアンヌちゃんなら普通のスライムでも倒せそうだよなって何言わせ盗るんじゃい!」


親父が勝手に言ったようにしか聞こえなかったが……

まあ言われてみればマリアンヌはとてもツンツンしていたけどワンチャンいけるってなんだろう?


「ねえ親父、ワンチャン行けるって何?」

「…うん……まあ…その………そういうことがあるってだけだ。」

「そっか。じゃあなんでスラ坊たちが危険なの?」


親父はどう説明したものかと云々唸ってから赤いスラ坊を指差して話し出す。


「こいつはクリムゾンスライムっつって最強の魔王を倒したと言われる伝説の勇者を倒したスライムなんだぞ。」

「どうやって?」

「俺もよくわからないが毒らしい。」


だから触れるなと言いたかったのだが自分の息子はさっきからクリムゾンスライムと思われる赤いスライムを全身に塗りたくっている。


「どこか悪くなっているとかなっていないのか?」

「なんともないよ。」

「そんなはずは……。」


親父は吟遊詩人の言っていることが間違っていたのかと呟きつつもまだ赤スラ坊を恐れていた。


そもそもスライムは無色透明なボディにくりくりとした目をつけた可愛いモンスターだ。


時に癒しとなりゴミを吸収してくれる優秀なモンスターだ。


しかし色がついた上位種は危険というのはどの吟遊詩人からも聞ける有名な話。


その自分の中の知識としての情報と現在実際に起こっている情報との齟齬が親父の葛藤を産んでいた。


「ほっほっゲホッゲホッ!」

「ソンチョーほっほっほ言うの好きだね。」

「その方が村の長っぽくってええじゃろ。」

「その割にはゲホゲホ言ってるけどな。あんまり無理しない方がいいんじゃないのか?」


親父は村長に向かってそんなことを言っていると杖が飛んできた。


「うげっ!村長何しやがる!!」

「何しやがるとはのう。ユートの子育てをわしに一任したのはどこの誰だったかのう。」

「う。」


僕の言葉遣いがおかしいのもこの口調の違う2人から習ったせいもあるが村長の家で遊ばせてもらったことが大きい。


「まあここまでスライムが懐いている理由はわしのスライムの友達の友達だからと言うのもあるがおそらく職業の影響じゃろうよ。」

「職業ってスライムトレーナーか?」

「うむ。」


村長は当たり前だと頷いて見せた。


「なんせこのスライムたちはただの無色透明のスライムからユート君と関わって進化したんじゃからな。」

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