第3話

村長の寒い1発芸を見た後は手で地面を耕していた。


「お前いつから素手で耕すようになったんだ?」

「自分で自由にして良いって言われてからだけど?それに手でっていうか足も使うし初めは爪とか良くはがれるようになったけど。楽しかったから夢中になってやり続けっちゃったし。」


そう話した後、親父は昼までには帰れよと一言言って家に戻っていった。


土を耕すのが楽しいというよりは自分の領地を増やすのが楽しい。


「ん?スラ坊、また来たの?」


1匹のメタルスライムがこちらにやってきた。

輝かしいメタルボディは太陽の光を反射して暑さを倍増する。


「そういえや赤いスラ坊は?」


ユートはスライムのことをスラ坊と呼んでいる。

何故なら村長がそう呼んでいたからだ。


村長の職業適性はスライムテイマーだったらしく村長の家ではスライムを飼っている。

ただ村長もユートと同じダブル適性で一体しか使役できていなかった。


ちなみに司祭様が俺に向かって職業適性を確認したときは何故テイマーでなくてトレーナーなのかを不思議がっていたが俺はイマイチ違いよくわからない。


まあでも村長曰くテイマーよりモンスターと対等でありそうじゃなとは言っていたが…


そんなことを考えているとぴょこッと赤いスライムが顔を出した。


「おお、お前まだいたんか。ん?メタルスラ坊どうした?」


メタルスラ坊は硬い土を掘り返し始めた。


「おお、畑作業手伝ってくれるのか。よし昼まで競争だ。」


そんな感じでメタルスラ坊と競争をしていたらお昼が過ぎていた。


「おーいユートってなんじゃこりゃ!?」


お昼になっても戻って来ないためモンスターに襲われたかと思い様子を見にきたユートの父であったがほんの数刻前まで耕されてもいない荒地だった地面が辺り一体耕かされていたからだ。


「あれ~親父ぃ~も~う~昼~は~過ぎてた~?」


土地の遥か彼方に豆粒のようにしか見えない息子がいた。

それともう2匹、太陽の光を反射する丸い物体が見えた。


「ありゃあスライムか?」


スライムは人類共通の認識で最弱のモンスターだ。

子どもでも倒せるため貴族が子供にモンスターとの戦闘経験を積ませるための練習台によく使われる。


だがスライムの上位種と呼ばれる存在は全くの別物だ。


例え歴戦の戦士ですらスライムの上位種は警戒する。


油断を見せたら最後、取って食われると数々の吟遊詩人が謡ったある種の恐怖の代名詞。


その上位種と思われる存在が2匹も息子の前にいると気づいた時ユートの父は泡を吹いて気絶した。


「あれ親父が倒れた。スラ坊一旦やめるよ。」

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