勇者のなり方
@bravextoshiki
第1話 死ぬ勇気
「あー、しんどっ」
ゴブリン退治を終え、会社から帰宅した勇気はベットに倒れこんだ。
ゆっくりと体を起こし、コンビニで買った弁当を食べ、スマートフォンをいじり、アニメを見る。
シャワーを浴び、ベットに潜り込みスマホをいじる。
気づけば目覚ましが鳴り、朝を迎え、仕事に出社する。
いつも通りの日常、ルーティンワーク。
「俺、このままでいいのかな」
仕事はつらいし、楽しいことも碌にない。生きてる意味ってあるのかな。
いっそ死んだほうがマシなんじゃないか。
毎日こんなことを考えてしまう。
入社したての頃はもっと輝いていたはずだ。
魔物を倒す勇者はつよくてかっこよくてみんなから尊敬されている。
俺もそんな人になりたくて、入社したんだ。
勇者っていうのは一定以上の功績、強さを認められた人が得られる称号のことだ。
今では世界に1万人以上勇者がいる。勇者だらけだ。
ちなみに勇者ランキングなんてのもある。
ゲームみたいに、「選ばれし勇者」なんてことはない。
勇者がたくさんいるから、強い魔物が出てきても平和を維持できている。
誰でも努力次第でなれるからこそ、俺も頑張れた。
あの頃は自己鍛錬や魔法の勉強もしてたのにな。
いつからやらなくなってしまったんだろう。
別にゴブリンに切られても死ぬわけじゃないんだ。
科学技術と魔法の進歩によって、「アバター」というものが開発され、自分の身体を複製し、遠隔で操作できるようになった。
だから命の心配なんて無いし、アバターを壊したら上司に怒られるだけだ。
同じ時期に入社した同期はドラゴン退治を任されるほど出世している。
それに比べて俺は進歩なし。22歳から入社して早3年。
あれから何も成長できずにいる。
そんな憂鬱なことを考えていると駅のホームに着く。
電車を待っている時間いつも思う。
・・・このまま線路に身を投げ出したら楽になれるのかな
もう、辛い現実から抜け出そう。
電車が来る。
ここで毎日毎日考えて、行動力のほとんどない俺がようやく一歩、足を動かした。
はじめの一歩だ。そして最後の一歩。
「さようなら」
俺は死ぬつもりで線路から飛び出した。
今更になって思うが、死ぬ勇気があるのなら、俺は勇者としての素質はあったんだ。
これは俺が「勇者」になる物語。
そして君も「勇者」になれるということを知ってもらえたらいいな。
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