ふきでもの

第1話

机の上に置時計がある。

テディベアの、イラストが描かれているかわいらしい置時計。

少し前に、いとこの結婚式のふきでものでもらった。

丁度、置時計を買おうと思っていたところだ。

買う手間がはぶけた。

なので、置いている。

場所も取らずに、重宝している。

「可愛い置時計だね、どうしたの？」

久しぶりに遊びに来た、彼女に訊かれた。

「買ったの？」

「いや、もらった」

「誰から？」

「いとこの結婚式の、ふきでもの」

彼女がキョトンとする。

無理もない。

「ふきでものでなくて、ひきでものね」

「ふきでものでいいの」

「どうして？」

「一か月持たずに、離婚したから」

そう、いとこは一か月で離婚した。

性格の不一致が理由らしい。

「そんな縁起の悪いの捨てた方がいいよ」

「やはり？」

「うん」

「リサイクルショップで、売れないかな」

「せいぜい、５０円じゃない」

この時計は、燃えないゴミの日に出した。