僕のラブコメ
奏風
1
目覚ましの音で目が覚める。
鳴り響く音を止めて時計を見ると、時刻は午前8時。閉じたカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
一度大きく伸びをしてからベッドを降り、高校の制服へと着替える。
リビングに向かうと、両親は既に仕事に向かった後だった。
テーブルの上にはラップのかけられた朝食とメモ。メモには「コンロに味噌汁もあります。温めて食べてね。」と書かれていた。
父は普通の会社員。母は近くのデパートで週3日程度パートをしている。母が仕事の日はこうして用意してくれている朝食を食べることが多かった。
朝食を食べ終わり、登校の準備。
教科書、ノート、諸々入れて、最後にページが折れないように気をつけながら読書用の本を入れる。
今ハマっているのは専らラブコメ小説。
ラブコメではよく朝起こしてくれるかわいい妹や一緒に登校する世話焼きの幼馴染みが出てくるが、現実ではそんなことはほとんどない。
だけど。
そんな都合の良い状況はなくても、気づいていないだけで。考え方が違うだけで。
人それぞれ自分のラブコメがあるのではないだろうか。
ふと、そんなことを考えながら玄関の扉を開ける。
今日も平凡で退屈な1日が始まる。
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