軌跡

@moonroad

アウストラロピテクス

   アウストラロピテクス



 国歌が鳴り響くとともにくだらない一日が始まる。

 気がつくと私の前には机と黒板を交互に睨み合う者達がいる。

 クラスで一番後ろの席の私は、ほとんどの者達の背を見ることができた。

 彼らは先生が来ると自動ドアのよであった。

 先生が来ると教科書を開きノ−トを開く。

 私にはそれがとても面白く見える。

 しかし彼らはチャイムが鳴ると自由に飛び舞う鳥になった。

 日頃の何かをはらそうとでもするかのように、武力を行するもの、

 奇声を発する者、それらは正に本能に忠実な動物のようであった。

 そしてふたたびチャイムが鳴ると自分の席に戻り静かな自動ドアになるのだ。

 彼らは時間を重ねるごとにより精密な自動ドアになる。

 だが彼らはその一方で着実にまた正確に

 人間の進化を本能的にさかのぼって行くのだ。

 私はそれが学校というところなんだな、って思ったりしたが、

 別にどうでもいいことなんだとやっと理解した。

 それは不可解な彼らは愚かな本能的に生きる

 アウストラロピテクスであって、考えるという人間の賢さを失っているからだ。





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