第22話 宇宙の竜騎士
「え? ヤバくない!」
「ああ、洒落にならん!」
その日、竜也達が家のテレビで見たニュースはとんでもない内容だった。
「あらあら? 宇宙が荒れるわね」
姫子もテレビを見てため息をつく、スタジオから宇宙空間へと画面が切り替わると夢田希ことヘリオスマンやその同種族のヘリオスの戦士達や巨大ヒーローがカツオに似た魚型の宇宙怪獣の群れを光線で攻撃している中で魚群を追うように巨大な魚に似た怪獣が出現したのだ。
「戻りガーツを追うのはクジラ―グ、とんでもないお宝だよたっちゃん♪」
怪獣達を見てジークリンデが涎を垂らす。
「ああ、戻りガーツの群れにクジラ―グとは太陽系を守る漁の始まりだぜ♪」
竜也も拳を握る。
「ガーツのたたきとかガーツぶし、クジラ―グの肉もえへへ~♪」
「ああ、これは俺達も宇宙へ漁に出ないとな♪」
とある悪の宇宙人により地球から奪われ、宇宙怪獣に改造されて宇宙中に広がったカツオや鯨を見て竜也達は食欲が沸いた。
「二人とも、頑張って取って来てね♪」
姫子が二人を応援する、この地球では一部の怪獣は食材にされていた。
「ガーツは元のカツオより美味いから近所に配れば喜ばれるな♪」
「ねえねえ♪ 帰りは、月面都市の市場で解体ショー見て行こう♪」
「ああ、宇宙怪獣の解体ショーは面白いからな♪」
竜也とジークリンデは食欲の秋に導かれていた。
次の日、竜也達の教室にて。
「え~、皆さんの中で宇宙に行きたい人はいませんか?」
担任であるピンキー先生が黒板に緊急校外学習と書く。
「ニュースになってますが、地球に宇宙怪獣の群れが迫ってます!」
ピンキー先生が教室を見回す。
「俺とリンちゃんが行きます、ガーツ食べたいんで」
「生徒の取り分はどのくらいですか?」
竜也とジークリンデが手を上げる。
「生徒が倒した怪獣は、国に納められます♪ あなた達コンビなので一匹です」
公立高校なので、学校の活動で得た利益は学校の収益となり国へと上がる。
それがわかっているから、他の生徒達は手を上げなかったのだ。
「はい、そういうわけで岸野君とファフナーさんは今から荷物を持って事務室で諸々の手続きをして出発して下さい♪」
ピンキー先生は竜也達に命じる。
「たっちゃん、急ごう♪」
「ああ、宇宙へ行くぜ♪」
竜也達が荷物を持って席を立ち教室を出るとピンキー先生はため息をついた。
「ふう、あの二人が行ってくれて良かったノルマは達成したわ♪」
先生にもノルマなどがあったようだ。
「これがと、月までのシャトルのチケットか」
「パスポートは二人分持って来てるから任せて、みかん食べよ♪」
シャトル乗り場へ向かうバスの中でしおりを読むなどをする二人。
「二人も参加してたのね、ボタン飴も食べる?」
マルタが竜也達の席へとやって来た。
「はい、みかん♪ 委員長はロボだっけ?」
ジークリンデがみかんとボタン飴を交換する。
「ええ、家は月にも支社があるからそっちのロボで参加するの♪」
「委員長が笑顔なのって、王道館も同じカリキュラムとか?}
竜也の言葉にマルタが笑顔を見せる。
「ええ、貴方達がセットのように私と学君がセットでロボで参加よ♪」
「やっぱりか、まあそちらもご武運を」
「ええ、ありがとう♪」
「委員長もご機嫌だったね♪」
「そうだな、学も上手く行ってるようでなによりだ」
竜也達が駄弁りつつも バスは椿原市を出て隣の
「星山発射場から月面市場に行けるんだな」
「私も宇宙は初めてだけど面倒だね?」
「ああ、俺達なら普通に宇宙へ出れるけど月面都市に入るのに手続きいるからな」
空港に似た発射場にバスが着いたので他の面子と共に下りる二人。
ツアコンの人に案内されて進み搭乗手続きを終えていざ搭乗口へと行くと駅のホームのような場所に出た。
「シャトルって、新幹線を太くした感じだな?」
「うん、そして巨大ロボットが控えてるね」
竜也達が自分達の乗るシャトルとその周囲を見て唖然とする。
「あれは家の会社で作った打ち上げ用のロボット、あれでシャトルをはたいて飛ばすの♪」
マルタが説明する。
「取り敢えず乗るしかないな」
「そうだね」
竜也とジークリンデは恐る恐るシャトルに乗った。
シートに座った皆が全員シートベルトを締めたので竜也達も締める。
そして、彼らが乗ったシャトルは巨大ロボにはたかれると物凄い速さでカタパルトを進み宇宙へと飛び出して行った。
竜也達が景色を楽しむ暇もなくシャトルは月面都市へと到着した。
「次はゆっくり景色を眺めながら行きたい」
「同感、絶対旅費ケチったよねあれ?」
学校の手配したシャトルに不満を抱きつつ皆で月面都市の中へと入って行った。
「見て見て、宇宙だよ♪」
「マジで黒いな宇宙って」
竜也達は白い隔壁で作られたターミナルの天井のドームを見上げると、黒い宇宙がそこにあった。
ツアコンに呼ばれた竜也達は集合する、効いていた通りそこには王道館の面子も集まっていた。
全員に宇宙食とサバイバルキットが配られると休む間もなく、出撃となった。
竜也達はジークフリーデンとなり指定されたハンガーのカタパルトから出撃。
宇宙空間に巨大ロボットや巨大ヒーローがズラリと並んだ。
「委員長達、前に見たロボと別のに乗ってるね」
「ああ、居住空間付きの百メートルのロボだな」
ジークフリーデンやハクギュウジンの倍はある大きさの、背中に二本のロケットを背負った潜水艦に似た胴体に巨大な手足が付いたスーパーロボットだ。
そのスーパーロボット、ダイザトウの中ではマルタと学が広いコクピットと言うかブリッジでイチャイチャしていた。
「オートモードオン、ダイザトウ発進!」
「学君、お茶どうぞ♪」
「ありがとう、何か良いのかなくつろいで?」
「家のロボットに文句は言わせないわ、仕事は真面目にするし♪」
「じゃあ、会敵までは休めるな♪」
「うん、これはダイザトウの快適性を調べるテストでもあるから♪」
マルタは学と二人きりの時間を楽しんでいた。
宇宙を行く学生ヒーローの有志達、彼らの目の前には銀色の体を持つ光の巨人ヘリオスマン達が待ち受けていた。
「あ、皆も来たんだ♪」
ヘリオスマンの一人、夢田がジークフリーデン達を見て手を振る。
「え? 何その槍と鶴嘴が混ざったような武器と金の鎧は?」
ヘリオスマン達のテレパシーで普通に宇宙でも会話する面々。
「これは、コスモハープーンピッカーで銛と鶴嘴が合体した武器なんだ」
「ホープ、ホープテクターの事も説明してあげなさい」
夢田が変身したヘリオスマンホープは、上司であるヘリオスマンスピアに言われ説明する。
「ちょっと、学校を休んで故郷の星で修行して手に入れた鎧と武器なんだ♪」
ホープが嬉しそうに語るが説明になってなかった。
「我ら
ヘリオスマンスピアの言葉に全員が肯定の叫びを上げた。
そして奴らはやって来た、十メートルサイズのカツオ型怪獣ガーツの群れが赤い目を光らせて突っこんで来る。
「来た、ジークドラッヘンで行くよ♪」
「おう、生ガーツをいただきだ♪」
ジークフリーデンはドラゴン形態のジークドラッヘンとなり突っこんで来るガーツに噛み付いて喰らうほか尻尾を振り回して気絶させる。
「こら! つまみ食いは駄目だよ? ハープーンスピン!」
ホープがハープーンを振り回してガーツの群れを殴り倒す。
他のヒーロー達も弱めの光線や電撃で動きを止めて殺さず捕獲していく。
「学君、お願い!」
「わかった、プラズマネット!」
二人がダイザトウを操作し、巨大な掌からプラズマの網を作りガーツ達の動きを止めては捕えて行く。
そして、ガーツ達をあらかた捕らえた所でクジラ―グが出現した。
「出たなクジラ―グ、あれが今回の原因だよ!」
ホープが叫ぶと同時に、クジラ―グが大口を開けて水色の泡を噴き出した。
泡がヒーロー達に当たると爆発し、吹き飛ばして行く。
「皆! 大丈夫か?」
ヘリオスマンスピアがテレパシーで語りかける。
「大丈夫、あれは食べて良いんだよね?」
ジークリンデが答える。
「クジラも捕って大漁と行こうぜ♪」
ダイザトウの中で学が叫ぶ。
「人類の食欲を舐めないで貰おう!」
ハクギュウジンも猛る!
「僕だって、銀河猟友団の戦士なんだ!」
ホープもハープーンを構える。
ダイザトウはヘリオスマン達と共にプラズマネットで巨大な網を作り突破を防ぐ。
ホープやハクギュウジンはサイドから攻撃に回る。
そしてジークフリーデンはクジラ―グの中へと突っ込んで行った。
「切り裂け! ドゥンケル・ギヨティーネッ!」
仲間達の攻撃に合わせてファングシュベルトから、暗黒の刃を放出し内部からクジラ―グを切り裂いて行くジークフリーデン。
その一刀は、巨大な鯨型の怪獣を宇宙に浮かぶ肉の塊に変えたのであった。
「やったぜあいつら、これで大漁だ♪」
「ええ、美味しい怪獣料理をごちそうするね♪」
ダイザトウの中で喜ぶ楽とマルタ。
「これで、今回の宇宙の生態系は守られた」
ヘリオスマンスピアは喜んだ。
かくして、倒したガーツやクジラ―グの亡骸ははヘリオスマン達の技術で小さなカプセルに回収され月面都市へと運ばれた。
クジラ―グの亡骸は斬撃が得意なヘリオスマン達により解体され皆に分配された。
ガーツも大半がが各学校の取り分となり、生徒達には一匹分の肉が輸送される事になった。
「リンちゃん、押さえてるからガーツの首切り落として!」
「任せて♪ とりゃっ♪」
フリーデン委変身した竜也がまな板の上のガーツを抑え、ドラゴン少女の姿になったジークリンデがガーツの首を切り落とす。
その様子を、人間サイズになった講師役のヘリオスマンスピアと人間の姿に戻った助手の希が拍手した。
「二人共、ナイスコンビネーション♪」
「ああ、これなら怪獣調理師の実技は合格だな♪」
スピアと希に褒められるフリーデンとジークリンデ、二人は漁が終わった後で怪獣調理師の免許を取るべく講習を受けていた。
講師と助手に褒められて変身を解く二人。
「やったぜ、後は座学だ♪」
「うん、私達なら取れるね♪」
そして二人は座学の講習もクリアし、怪獣調理師の資格を手に入れるというオマケもゲットしたのであった。
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