黒い空

バブみ道日丿宮組

お題:鈍い空 制限時間:15分


黒い空

 締めを告げるのであれば、雷鳴や、激流、地震などといった自然による報復が一番効果的と言える。

 なおそこらへんは神様のきまぐれであったりする。

「明日は雪を降らせるのじゃ」

 家に住まう神はそう言葉を漏らす。

「神様。今の季節は夏ですよ。雨ならともかくとして雪は気温的にはないかと」

 雪降ったら涼しい気がするが、すぐに溶けてしまうだろうし、水分もすぐに蒸発してしまうだろう。今の日本はそれくらいのヒートアイランドになった。

「最近空は暗いからの。たまには明るいものを見せてもんじゃなかろうか」

 神様がいう空が暗いというのは、昼でも黒い雲が覆ってしまってることを指してる。

 この黒い雲はとても強く、対策に対して遅延性のもつ周波を出す。そのため、ミサイルであれば、ちがう場所に飛んでいき、戦闘機であれば墜落するといった具合の強さを持ってる。

 その雲は別の神様が作った。

 理由は神への崇拝が足らないとかなんとか。

 もちろん、他の神たちも対抗するためにいろいろな施策を行った。

 だが、黒い雲を作り上げたのは腕がいい神様で消すことはできなかった。

 唯一干渉できたのは、僕のそばにきた少女の姿をした神様だった。雨を降らしたり、雪をふらしたり、風を起こしたりと、雲以外に干渉してる。

「それに雪が降れば、少しだけでも明るい世界が見れるじゃろうかのう」

「根本的な解決をするなら、作り上げた神様を探すしかないんですよね」

「そうだの。多少の奇跡ならばどの神様も作れるが、こういった世界に干渉することができるのはごく一部しかおらん。神様の中でも神様といえるであろう」

「神様もあったことないんです?」

「ない。見たこともない。だから、この雲を作り上げたとは思っておらん」

「だったら、しょうがないですね」

 いない人を頼りにすることはできない。

 いくら政府が探そうが、相手は神様だ。自分たちに見える姿をしてるとは限らない。

 その辺をあるく野良猫かもしれないし、ナマケモノかもしれない。

「雪の次は氷がいいな」

「構わないぞ。たいやきを買ってくれるなら」

「うん、わかった」

 そうして買い物に出ることになった。

 神様は疲れたといって眠ってしまった。

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黒い空 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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