第24話 マイクの不満。

 食事に風呂……さすがにそれは不味いだろう?

 そこはさっ、考えようよフェルトさん!

 本当に勘弁してくれってば!


「だけど…風呂まで入っちゃうとさ、動きたくなくなるだろ?だから先に泊まる部屋は、押さえておかないとさっ!ここに泊まれないだろ俺ら」

「そ、そうだったわね…?旦那の甲斐性があれば、この家も大きく出来るのに…」

「フ、フェルトさん?なに言ってんの。全く俺らは部外者なんだから、そんなことを言うもんじゃ…」 


 すると、さっき迄黙っていた約一名が…また余計な事を言って場を盛り上げやがるし!お前少し黙ってろよ。


「全くよ!ババァもじしぃも、兄貴達も皆でジュリだのカイトだのと言って、全員で二人を構いやがって!胸くそ悪りぃ~ケッ!お前ら二人は早く出てけよ!目障りなんだよ昔っからよ!」


 おお、本音が出たな…まぁそうだな。


「なに嫉妬してんの?馬鹿でしょあんた。当たり前じゃない!あんたみたいな不細工、どう考えても可愛いなんて思わないわよ!アハハ、キモ!」

「そうそう、少しは人の云う事も聞いて、素直になれば可愛げもあるけどなぁ~。それに、そのみっともない体型。お前と兄弟だなんて、気分が悪いし恥ずかしくて」

「ね、姉ちゃん、兄ちゃんもなに言って…くそ!皆で俺を馬鹿にしやがって!」

「ふふん!屑」

「だな」


 これは不味い!

 これは…フェルトさんに話して出て行くのが得策だよな。


「フェルトさん、本当に俺らは良いから気にしないでくれ。ギルマス遅いからギルドに行くよ。カイトほら行くぞ!」

「う、うん。そうだね兄ちゃん」

「駄目よ?ここにいて頂戴!あの三人は放っておいて良いわ。本当の事を言われないとマイクは分からないだろうしね」

「そうかな?言っても分からないんじゃないの?フェルトおばさん」


 おま、お前またそんな爆弾投下するなよ!カイト!空気読め!


「カイト、お前意外に酷いのな?」

「え?そうかな?仕方ないんじゃないの?言っても聞かない方が悪いよ」

「ま、そうなんだが…。マイクの場合は、俺らに嫉妬してるだけだぞ。それと、後は…甘えだろうな。あの体型見たら分かるだろ?」

「……ああ、そうか!」


 分かったのかな?いまいち不安だが?


「はぁ~あんた達…、兄弟長く離れて居ても、仲は良いのは変わらないのね?あんた達は!全くうちのバカ息子も…」

「フェルトさん、母親のあんたがそんな事を言うから。マイクがああなっちゃたんじゃ無いのかな?」

「え!私に問題が?」

「だよ?俺らに構い過ぎ!マイクはお母さんに良い子と、誉められたかったんじゃないのかなぁ~マイク!」

「……なんだよジュリ!俺を呼ぶんじゃねぇ!ってか早く出ていけ!」

「それがよ、出て行きたいのは山々なんだがなぁ~。お前の家族が離してくれん。だけどギルドに預け物が有るから、それを回収したら出てくぞ?なんなら、お前ギルマス呼んで来いよ。少しは動いたら?」

「う、」

「う?」

「煩せぇ!くそジュリ!誰がお前なんかの頼みを利くかよ馬鹿が!」

「ん~その方が、俺らは早く出て行くぜ?頭悪いなお前?」

「煩せぇチッ!おいババァ!俺は部屋に行くからな!」

「あっ!そうなの?好きにしなさいな」

「っ!…ふん」


 マイクは重たい体を持ち上げてリビングから出て行った。


 何だったのか……あいつは?

 最初から自分の部屋に直行すれば良かったのに?

 あいつとはあんまり絡む事がなかった筈なのに…本当に失礼だな。


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