第12話 再開はしたが。

 くっそ!まだ起きて気ゃがらねぇ~。餓鬼はよ!

 まだ寝てんのかよ?あ~だんだんイライラしてきた!

 仕方ねぇ起こしに……。


「に、兄ちゃん……あ、あの……」

「ひっ!」


 真後ろに居るな!声掛けろよ…ビックリするだろ!


「よ、よう!糞餓鬼、起きたのかよ」

「う、うん……あ、あの……えぇっとぉ~その…」

「なに?」

「た、助けに来てくれたのか?」

「……見りゃわかんだろがよ!なにその質問?」

「い。嫌さ、だって…前は…」

「んぁ~、あれな……まぁ……悪かったよ」

「え?」


 なに…こいつ聞き返すなよ!


「お、お前、腹へってねぇか?」

「お、お腹……」


 すると、カイトの腹が返事した。ハハハ!


《グーーー》


「あ!」

「お前……腹で返事するのは、変わらねえのな?」

「う、煩いよ!」

「なら、要らねえのか?折角俺が卵粥作ってやったのに」

「い、居る。食べます」

「なら、そこに座れ!あ、レツとレオどかせよ?」

「レツ?……あっ…!で、でかくなったね……」

「そうだろ?お前が保護したのに、お前が面倒見ないから、大変だったんだからな!」

「そ、それは……ごめんなさい。ってか、座れないこいつらデカイ!」

「ハハハ、それはそうだな。しっかし、起きないな二匹とも。おい!レオ、レツ、お前ら起きろよ!カイト帰ってきたぞ。無防備すぎだろ?いくらここが、警戒しなくて良い空間のとはいえ!おい」

「「……………」」


 ジュリに無理やり起こされた二匹は、若干機嫌が悪い様だが。カイトを見つけると飛び掛かってじゃれ始めた。


「お、起きた……な…」

「よう、レツ、レオ。お前ら元気だっ………うぅわぁーーや、やめ、やめろ。お、重い!重いから」


 そりゃあ二匹に、のし掛かられたら堪らんわな…。


「に、兄ちゃん!た、助け…見てないで…助けてよ。二匹は重いーー」

「まあ、遊んでやれよ?お前とは随分離れてたからな。そいつらの気のすむまで?」

「まで?って何で疑問系なんだよ!兄ちゃん!俺は腹が減ってるの!」

「仕方ねぇなあ……ほらレツ、レオ、カイトは腹減ってるんだとよ。少し待っててやれ」

「ガゥ……」

「……」


 言葉が分かったのか?カイトから二匹は離れた。


「ほっ、兄ちゃんありがとう」

「べつに?ほらよ飯だ。自分でよそって食えよ?」


 アイテムボックスから鍋と食器を、テーブルに出して食べろと進める。


「うん!サンキュー。兄ちゃん」


 カイトはジュリに礼をいうと、鍋の蓋を開けて中の卵粥を茶碗によそって食べ始めた。


「頂きます!ふぅふぅ~。ハム…ムグムグふぅ~。うん!うめぇ……兄ちゃんの飯は、やっぱり旨いなぁ……」

「なに?しみじみ言ってんの?気味悪ぃ」

「だって、兄ちゃんと別れてから、食事事情が変わっちゃってさっ」

「そんなもん知るかよ、お前が悪いんだろ?」

「そう、俺が餓鬼だったよ」

「なんだよそれは?飯で困ったから、俺とまた居たいとか?馬鹿にすんなよカイト」

「い、嫌、違うから、そうじゃないよ!」

「なら、なんだってんだよ。全くこっちは迷惑だぜ!カイトお前相変わらず我が儘な?」

「我が儘って…酷いな!」

「酷いねぇ…?それで何で俺を探してたんだ」

「それは……」



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