第6話 ここも居るのな?バカップル 1

 門番に教えられた道を真っ直ぐ行くと、ギルドの看板が見えて来たら……。また、カイトの人見知り発動ですよ。


「兄ちゃん……」

「ほら、中に入るぞ。そのまま歩いて中に入ってくれよ?」

「抱っこ」

「……歩けよ?」

「やだ!抱っこ」


 俺の脚にしがみ付いて離れない、カイトだ。

 ……ここで拗ねられても困るか……。


「仕方ねぇなぁ……ほら、おいで」

「うん」

「カイト……お前そろそろ慣れろよ。じゃないと、ちゃんとした大人に成れないぞ?」

「むぅ………良いじゃんか、怖いんだもん」

「怖いねぇ………」


 全く甘えん坊に、育ててしまった。


「ハイハイ、分かったよ。なら、ギルドのなかでは大人しくな」


 口元を手でチャックな?とヂェスチャーするとそれを真似して、手を口元に持ってきて同じことをするカイト……。そして、「分かってるよ」という。


 本当に……素直なのか、そうじゃないのかが分からん。

 子育ては、大変だ。

 世の中の主婦、主夫の皆さん……尊敬します。

 てか、そんなことを言ってる場合では無いな…。


「なら、中に入るからな」


 目の前の建物の扉を開いて、ギルドの中に入り中を見渡す。

 港町なのに、そう来る人が居ないのかな?

 カウンターに座るのは、一人の受付嬢だけ。

 その受付嬢の目の前には一人の冒険者かな?

 ……が、なにやら二人で話し中の様子だ。


「これは暫く待つかな」

「兄ちゃんどうすんの?」

「ん、取り敢えずカウンターが、空かないと受付の人と話せないからね?少し待とうか」

「そうなの?」

「そうなのです。依頼ボードでも見て待ってようぜ。カイト君」

「なら、下りる」

「そうか?それは助かるよ」


 抱いたカイトを床に下ろして手を繋ぎ、依頼ボードにどんな依頼が有るか覗いて見る。


「なになに?ふぅ~ん。ランク毎には分かれてないのか?それとも…、ランクの低い冒険者しか居ないのかな?」

「なに?兄ちゃん」

「何でもねぇよ」

「あっ!これは?」

「これ?なに…」


 カイトがこれと、言って指した依頼書は……。


「シーサーペントの捕獲?なにこれ」


 こんなもん直ぐに出来るから、パスだな。

 それに報酬も安いしな。


「報酬が、安すぎだよカイト」

「そうなの?」

「そうだよ」

「ふぅ~んでもこれって食べれるの?」

「はっ?海の魔物を食べるのか?」

「うん、食べてみたい」

「………仕方ねぇなぁ……なら、依頼を受けるか?」

「うん!」


 依頼ボードから依頼書を剥がして、カウンターを見るが…。

 未だ話し中……、なんだか冒険者と受付嬢は仕事をしてないのか?

 無駄話が聞こえて来る。


「……だろ?」

「えぇぇ…でもぉ~」

「良いじゃねぇかよ」

「だけどぉ……今はぁ~」


 なんかイラっと、した会話が聞こえてきたし!

カイトにも聞かせたくない。


「あの!ここで、いちゃつくなら他でやってくれません?私は、この依頼受けたいんだけど!」


 俺達の他には誰も居ないギルドの中で、依頼書を指でもってヒラヒラさせなから、大声でいちゃつく受付嬢と冒険者に声を掛けた。


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