第2話 不親切

 カイトが気を聞かせて、話しを進めてくれたけど……。

 交渉する前に俺が切れて、話がなくなりそうだな。


 俺ってこんなに切れやすかったっけ?


「ち、ちょっと待ってください!私が悪かったですから……。この一度話をさせて下さい」

「………だってさ!どうするの、兄ちゃん?」


 どうすると言われても……、チラリとカイトを見る。

 カイトの目が好きにすればと言ってるな。

 なんか偉そうなのは気の所為かな?


「だったら、一度そこで土下座したら、話しを聴いてやってっも良いがどうする?」


 ニヤリと笑って親指を下に向けて言ってみた。

 フン、土下座できるならやってみろ!


「そ、それは勘弁してくれないかな?腐っても、ギルドマスターなんだよ私もね?」

「なら、出てくよ。じゃあな、おっさん」


 カイトを抱き上げて扉を開く。

 そして、一歩足を前に出したところで何やら後ろで物音がした。

 体を反転させて振り向けば、……土下座ではないが立ち上がってちゃんと、腰を折って頭を下げてた。

 なんなんだ、こいつは…?


「なんなんだ!あんた……人をからかって?いや、試してるのか?」

「フフフ、すまない。君の情報が本当かどうか、試させて貰ったんだよ」

「なにそれ?」

「君あれだろ?」

「なに、あれって」


 知らんわそんなん、こっちが聞きたいわ!


「町のスタンピードを押さえた、勇者!ジュリ君だよね?」


 はぁ~またかぁ~!てかここは帝国だろ?

 なんでそんな話しが………あっ!ギルド協会は国同士は関係者無いのか。


「だからなに?それで、下に出した魔物は買取りしないの?するのかな」

「買い取るよ。勿論ね?我が帝国のギルドも素材が不足気味なんだ、だから買い取る。だが量が量だ!査定が追い付かない」

「はぁで?いつまで待てば?」

「明日の昼までにはなんとかだ、そうだ」

「へぇ~滞在費は?もしくは滞在先紹介してよ」

「は?」

「だって、さっき出した魔物を売ったら、今日でここを出るつもりだったからな。宿を押さえてない」

「そ、それは……困ったね?でも、それは此方は関係ないだろ?金がないわけでは無いだろうしね」

「「……………」」

「あっそう。なら明日の昼前に下の、カウンターに顔を出すよ。そのときに金を貰う。行くぞ」

「うん!おじさんバイバイ!」


 話が済んだな……なら、ギルドを出るか………。

 カイトを抱いたままギルドを出た。


「さて、宿屋を探さないと……」

「兄ちゃん……?」

「あ~なに?」


 マップを見て宿屋を探す。

 ええっとぉ昨日の宿屋じゃなくて違う場所…。


「兄ちゃん!」

「だからなに?」

「何処に行くの」

「宿屋を見つけたからな、そこに行くぞ?」

「ふぅ~ん、昨日の宿屋?」

「違う!別場所だ」

「なら早くいこうよ!」

「てか歩け!手は繋いで行くから」

「わかった。兄ちゃん……ここもハズレだったね?」

「なぁ~!」


 町中をカイトと二人で愚痴りながら宿屋に向かうのであった。

 さて、そろそろまじで……まともな町探したい。

と思う樹里である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る