第23話 宿もやっぱり……

オンポロギルドを出ると、外は薄暗くなって来ていた。


「やべぇカイト、宿探さないとだぞ」

「だね……宿屋は屋空いてるかな?」

「さぁどうだかな。なきゃ仕方ないな、外で野宿だな」

「………ま、どっちでもいいけど……。なんかさ、前の町を出てから本当について無いよね?」

「……そうだな……俺もこれ程、運が悪いとは思って無かったよ」

「に、兄ちゃんが、悪い訳ないじゃんか」

「ん~ま、次を期待しようぜ」

「兄ちゃん、お気楽だよね?」


 んな訳あるかよ!こっちは定住先が見付からなくて困ってるつうの!


「ま、まぁな!深く考えると切りがないだろ?」


 カイトを抱いたまま街中を歩く。

 酒場もないし、道具屋と雑貨屋がかろうじてある感じで、飯を出店も一軒だけか……。

 これは本当にハズレだ!

 マップを見て宿屋らしき建物を探す。

 そして宿屋みっけ!ありましたよ。


 とりあえず向かいますかね?


「カイト、下りろ!」

「ええ、嫌だ!」

「むぅ……重いんだがな?」

「それより宿屋は何処だよ、見つけたの?」


 生意気な……。


「見つけたよ、今向かってるんだよ」 

「ふぅ~ん。お腹すいた」


 それだけ言うと俺に抱きついてくる。

 本当に甘えん坊なんだよなぁ……。

 これから先、少し厳しく育てないと不味い気がする。


「ハイハイ、宿で部屋が取れたら飯にしような」

「うん!レツ達もペコペコだと、思うよ?」

「そうだったな。レツ中で、新入りと上手くやってるかな?」

「わかんない……上手くやってると良いなぁ」

「だと、良いな?さぁ宿に着いたぞ?どうやらここらしいぞ?」


 ここといって、カイトを下ろして宿の前に立った。


「………ここは、兄ちゃん普通なのかな?」

「さあ?わからん」


 宿は2階建ての木造で。

 まぁ、この町ならこんなもんかな?って感じだが………。


「つ立ってても、仕方ない中に入るぞ!カイト」

「うん………気が進まないけど」


 そして、屋度の扉を開いて中に入る。


「すみません……誰かいますか?」

「………………」

「居ないのかな?」

「んな、訳のあるかよ!この時間は忙しいんだろうよ」

「ふぅ~ん。あ!ボクが呼ぼうか?………すみません!誰がいませんかーーーー!」

「………来ないね……」

「よし、一緒に呼ぶか?」

「うん」

「ならせーの」

「「すみませんーーー」!」


 二人で叫んで様子を見ていると、ロビーの奥から人が出てくる。


「あら、すみません?呼びましたか……?」


 じろじろと俺達を見てくるが、これは何処に行っても変わらない反応なのでスルーする。


「ええ、すみません。ここは、宿屋ですよね?」

「ええ、そうですよ。お泊まりですか?」

「部屋が空いてるなら、出来れば一泊」

「そう、ですか?うちは一泊大銀貨1枚よ?お金……あるの?未だ子供の様だけど?」


 高っけえ~!一泊一万か、こんなボロで一万! それに、俺達を見下してるし。


「えっと金ならあるけど……その態度は」

「兄ちゃん、泊まろうよ!お金あるもんね?おばさん!泊まるよ……」

「お、おばさ……そ、そう?なら大銀貨一枚。前払いよ!」

「カイト……仕方ねぇなぁ。はい、おばさん金だよ」

「(本当に持ってたの?それにしても失礼ね!私は未だ、オバサンてとしでもないわよ!)で、で食事は?」

「それはいらない、泊まるだけだから」

「そう!なら部屋の鍵よ。2階に上がって左手の一番奧の部屋よ」

「そう、ありがとう。行くぞ」

「うん兄ちゃん!抱っこ」

「お、お前………仕方ねぇなぁ!ほら……っしょ」


 抱っこと言うカイトを抱き上げて、階段を上がり部屋に向かい鍵を開けて部屋の中に入る。


「ほら、下りてくれ。全くお前……甘えるなよ」

「いいじゃん!それより部屋に結界だよね……」

「ま、そうか。なんかさ最近カイト気が利いてるよな!偉い偉い」


 カイトの頭を撫でなから、部家の扉の鍵を締めてから結界と遮音の魔法を部屋に捲らせると、空間も拡張する。


「終了……。カイトこれでレツ達を出せるぞ」

「………分かった!」

「出したら飯か……」

「うん!レツおいで……。それと……あっ!この子の名前付けてないっけ?」

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