第22話 ポンコツ

「カイト、ここ出るぞ」

「分かった、これじゃ魔物も売れないよね?」

「分かってんじゃんかよ!なら行くか。ギルマスさん!頑張ってな。じゃ!」


 立ち上がってカイトを抱いて、オンボロギルドを出ようとしたら……、ギルマスに足を捕まれた。


「うお、な、なんだ?」


 ビ、ビックリした!心臓止まる。


「ま、待って下さい!いま、なんと仰いましたか?」

「はぁ?」

「だから、魔物を売りにと、おっしゃってませんでしたか?」

「言ったが、なに?こんな場所じゃ売れないだろ?金も無さそうだし」

「ウグ!そ、それはそうですが……。それには、理由があるんですぅー」

「理由……ねぇ?」


 なんか嫌な予感……。


「そうです!依頼された魔物が、手に入らなかったから!潰されたんですよぉ~。てか!未だここは潰れてないです!」


 自分で、潰れたと言わなかったか今?ポンコツのエルフだな?


「それは、冒険者がポンコツだったか、依頼の報酬が少なかったんだろ?」


(う!ま、またしても……的を得ていて……何も言えない)


 ギルマスさん何か言ってるけど聞こえない……。


「なに?」

「い、いえなんもないです。そ、それで、貴方は、何を売ってくれるのですか?」

「なに?金も無いのに売れとか……頭大丈夫か?」

「う!それは私が欲しい魔物の、素材だったら買取ます!」


 飯を買う金もねぇ癖に随分と偉そうだな?


「何が欲しいの?ギルマスさん?」

「おい、カイト。余計な事を聞くなよ?」

「でも、ほら僕達ギルマスさんの、欲しい物を持ってるかも知れないし?」

「持って無いかもだろ?」

「だったらそれで良いじゃん」


 つ、冷たいバッサリ切ったね?君、ある意味俺より冷たくねぇか?


「うう、冷たいご兄弟ですぅ……」

「で、なに欲しいの?」

「そ、それは!バルケオザウルスLv50前後の本体丸々です…」

「バルケオザウルスねぇ……レベル低くねえ?」

「ひ、低い訳無いじゃないですか!高ランクの、魔物じゃないですか!」

「そうなの?」

「ええ、そうですよ!」

「ふぅ~ん。そうなんだ。でも、お生憎様!俺らそんな魔物は、見たこと無いよ」


 何処にそんなもんが居るんだよ!


「そ、そうですか………」

「そう、だから俺らは出ていくからな。じゃ頑張ってなぁ~」


 精々頑張って生きてくれ!それと、飯代はサービスだ。


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