第15話 馬車で移動するか?

「え?」

「だから盗賊やっつけないの?兄ちゃん強いんだからさっ!」

「それは……今回はしないかな?」

「なんで?」

「奴らチョロいし?」

「え?悪い奴らなんでしょ?」

「そうだけど……トラブルに、なるぞ?」


 そんなん嫌だ!絶対にな。


「でもさ………兄ちゃん」

「カイト……あいつら捕まえてもさ、どこかの町に行かないとならなくなるぞ?ここから町迄、悪い奴らを捕まえても運べないだろ?どこの町に運んで良いのかも分からんよ?」

「あ!そうか。僕たち空飛んでるだもんね?」

「そう、馬車も馬もないぞ?」

「そっか……なら、仕方ないね?」

「おう、だろ?だからここから離れるぞ?」

「分かったよ」

「なら、支度してここから離れるぞ。レツと保護したその子も鞄に入れて置けよ」

「分かってる。おいで、レツ。この子と一緒に鞄に入っててね?」

「にゃ、」


 カイトが、鞄の口を開けるとにゃんと、一鳴きして中に入って行った。

 そして、カイトは怪我を治して未だ目覚めない、タイガーの子供を鞄に入れた。


 俺はちゃっちゃと、出した物を仕舞いテントの中の空間を閉じる。


「よし!忘れ物ないな!カイト、お前は準備出来たか?」

「出来てるよ。いつでも行ける」

「おし!なら行くか?」


 カイトを抱いて、結界と認識阻害阻害の魔法を解除してその場から飛び上がる。


「兄ちゃん……何処に行くの?」

「そうだなぁ……」


 カイトにあやふやな返事をしながら、マップを見て山を彷徨く山賊の手下達を確認する。

 そして……マップで見る三人の山賊の手下に麻痺の魔法を掛ける。


(ええっと麻痺……マヒの魔法は……なんだっけ?

あ!ええっと思い出せないから適当で!パラライズ!)


 マップで点を確認すると、赤い点がその場で動かず点滅してる。


「おし!これで、暫く人に迷惑が掛からないか?」


 ま、それでなんとかなるかな?

 麻痺させたから……、麻痺が解けないならそのままだがな?ハハハ。アーメン!


「兄ちゃん?さっきから何してるの?」

「ん?さっきの山賊達をな!動けないようにしてみた。てへ」

「兄ちゃん……やることが、えげつないよ?」

「カイト!そんな言葉何処で……また、ギルマスのおっさんかぁ?」

「フフフ。ギルマスには、色々教えて貰ったもん!」

「もん!じゃないからな!お前は……口が悪くなった。兄ちゃん悲しい……」


 思い付いたから、退治しただけで理由は無い。

 だからその……何でもない理由を、カイトに話すのも面倒だから誤魔化す。


「そんなこと思って無い癖に!それにさっきは盗賊には、何もしないって言ってたよね?」

「まぁ、そうなのだがな?ここで動けないようした分には……誰にもにも迷惑は掛からんだろ?」

「ふぅ~ん。まぁそうなのかな?良くわかんないや。所でさ、何処に行くのさ」


 お、話題を切り替えたな?大人な対応で…冷めてるねぇ~。

 ………やべぇ俺に似てきたかな?


「あ、未だ考えてないなぁ……。何処にするかな?」

「ええ、考えてよ。空は寒いし、高いから怖いんだからな」

「じゃ今度からは、馬車にするか?」

「ば、馬車は……。あれは酔うし、お尻痛いから……」

 

 ハハハ、随分とトラウマになっちまったかな?



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