第11話 起きたよ?
ジュリと火の番を交代したカイトは、テントの中に入りテーブルに置いてあった、カレー味のカップ麺とおにぎりを見て、顔をほころばせる。
「やった!久しぶりのカップ麺だ!」
最初にこれを見たときは、不思議でなんだか良く分からなかった。
ジュリに食べ方を教えて貰い、恐る恐る食べたのを覚えてる。でも一口食べて大好きになった。
兄ちゃんは飯の支度が面倒なときに、時々これを出してくれる。このカップ麺とやらは色んな味があって、その中でもカイトはカレー味一番が好きなのだが。
…………今日は少し違う。
「兄ちゃんを……怒らせたなぁ。は~ぁ……」
溜め息をついて律儀に、「いただきます」と言って出来上がった、カップ麺に手を出して食べ始めた。
「にゃ~」
ん?なに……?あ!猫……の声かな?
カイトは、猫を寝かせてあるベットに目を向けると、寝かせていた猫が目を覚ました様で、辺りを伺っている。
「にゃ!」
どうやら猫は、カイトが食べている物に興味を示した様で警戒しながら、カイトに近づく。
「ん、腹減ってるの?なら、ちょっとまっててね?」
確か兄ちゃんが用意してたよね……。
あ!あれだったよね?
カイトは、瓶に入ったミルクとやらを、小皿に出して猫の側に置く。
そして、猫からゆっくりと離れてテントの入り口に行くと、ジュリを呼んだ。
「兄ちゃん、猫は目を覚ました」
「ん……?なんだって」
「だから猫!」
「あぁ、目を覚ましたか?」
「うん!さっき兄ちゃんが出した、ミルクを皿に入れて出した」
「そうか、ミルク飲んでるか?」
「あ!見てないや」
慌ててテントの中に引っ込むカイトに、ジュリは慌てるなと注意をするが、もうテントの中に引っ込んだ後で、カイトは出入口には居なかった。
「おい!慌てるなよ?」
テントに戻ったカイトはそっと猫を見る、とどうやらミルクを飲んでいたので安心して。また、ジュリの元戻って猫の子が、ミルクを飲んでると伝えた。
「兄ちゃん、猫ミルク飲んでたよ」
「そうか?ならそのまま飲ませとけよ。腹が膨れたらまた、寝るだろうからな?」
「わかった。ならそっとしておくよ」
「カイトは、飯食い終わったのか?」
「あ!未だだった……」
「なら、食って。風呂に入って寝てろよ?」
「兄ちゃんは?」
「ん、風呂なら入った。もう少しここで火の番してから、外のサルを片付けてから寝るよ」
煩いからな……。
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