密会

バブみ道日丿宮組

お題:誰かの教室 制限時間:15分


密会

「明日あの教室で勉強だからね」

「あそこ……? あんまり好きじゃないんだよね」

「人がいない場所ってあそこくらいしかない」

「人がいてもいいじゃない」

「私が嫌。指さされるのも噂されるのもかんべん。もっと平和的な暮らしをしたいもの」

「じゃぁ、付き合うのやめる?」

「それはもっと嫌。あなたが私以外の誰かと歩くだけでも蕁麻疹でるもの。それが母親、妹だとしても私は嫌」

「歪んでるね」

「軽蔑した?」

「別にしない。僕も自分が特殊なのは知ってるからね」

「血液型なんて気にしなくていいよ。そういうのは子どもができてからで」

「でもさ、必然的に子どももこの血を受け継ぐわけじゃない? 怪我して誰かに血を付着させるわけにもいかない。自分が怪我をするわけにもいかない。何もかもが禁止されてるような状況でさ、気にしないってのは難しいんじゃないかな」

「大丈夫だよ。それであなたが軽蔑されるなら、もう世界を敵に回すしかない」

「君がいうと冗談に聞こえないから怖いね」

「そう? あなたと付き合うと決めてから決意したことだからね」

「そのわりに他人に見せたがらないよね?」

「噂は嫌いだもの。あの人がいいとか、悪いとか。いったい何様のつもりなのかしら」

「人間は比較差別をする動物だからね。そのために、知恵が与えられたともいえる」

「最悪な動物ね」

「生きてるだけで地球をダメにする動物だからね。いいってところは若干しかないよ。それでも僕らは生きるしかない。他の動物から罵りを受けようとしてもね」

「なんだか複雑な想いになる」

「それは最初だけさ。だんだん忘れて他の人と同じようになる」

「最低ね」

「都合がいいともいえる。それで教室だけど、鍵は僕が借りておけばいいんでしょ」

「うん、私が関与してることはできるだけ伏せたい」

「大体バレてると思うけどね。あの教室に入ってることを知らない人のが少ないと思う」

「見せたくない。その気持ちさえ表に出てれば、ある程度人は距離を置いてくれるもの」

「そんな甘い動物だったかなぁ」

「いまのところ大丈夫だから、このまま続けたい」

「いずれは僕の家にもきてほしいんだけど」

「あなたの家族と仲良くなれるかはカケ。嫌われるほうのが確率が高い」

「過小評価しすぎなんだよね、君は。まぁおいおいでいいかな。じゃぁ、先に行ってるよ」

「うん」

 そうして電話はきれた。

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