バブみ道日丿宮組

お題:10の帰り道 制限時間:15分


 人の数を数えると、一日一人ずつ減ってることがわかった。

 不思議なことにその友だちであるクラスメイトは誰一人として、おかしさを感じてない。まるでいなくなることが決められてて、その日を迎えたようだ。

 私はおかしいと思う。仲が良かった友だちがいなくなることは寂しいだろうし、話題にもなるだろう。まぁ私には友だちはいないのだけど。

 なんにしても、教室から一人ずついなくなってることは事実だ。

「……」

 もともと1クラスしかいない学校なので、自然と登下校は決まった人しかいない。それも減ったことにより、より一層固定された。

 朝早いこ、遅刻ギリギリなこ、真ん中ぐらいにくるこ。それがだんだんと朝が早いこに限られてきた。朝以外にはいったいなにがあったのだろうか。

 

 放課後。

 部活をやるこ、補習するこ、図書室に籠もるこ。

 自然とそれも帰るこだけになった。

 こうなってくると、学校になにかあるんじゃないかって思い始める。

「……異常なし」

 探索。

 人のいなくなった夕方に学校を見回る。

 この時間は教師も残ってない。

 鍵をかけないことは正直どうかと思うけれど、調べるにはちょうどよかったので忘れることにしよう。 

 施錠されてる噂された屋上は簡単に空いた。

 屋上にあったのは、普通のフェンス。壊れた場所もない。

 なぜ行ってはいけないのかわからなかったが、フェンスの前に立ってみると考えが変わった。

 人がーー人の形をしたものが校庭に見えた。

 影のようだけど、うねうねと動いてる。

 それが10個。

 ちょうど、いなくなったクラスメイトの数だけあった。

「……なんだろう」

 屋上から校庭までの距離はそんなに離れていない。そんな中でぼやけて見えるということは人ではないのだろうか?

 わからないものは確かめてみよう。

 そう思い、屋上を後にした。

 結果的にいえば、校庭には何もなかった。あった場所を屋上からおおよその位置をたどってみたが、何もなかった。

 ただの校庭の土がそこにあるだけで、他に何もなかった。

 そう思い、帰途についた。

 次の日、学校はなくなってた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る