いじめられ君に出会い
水無月
第1話 地獄の始まり
「美空!早く起きないと遅刻するわよ」
ああ、また地獄の様な一日が始まった。
母に気付かれない様に声のトーンを上げ返事をする。
「準備してすぐ行くよ!」
そうして朝食を食べ、いつもの様に両親に言うのだ。
いつも通りに。
心配させないように。
泣いてしまわないように。
「いってきます!」
2人には絶対に知られたくないから。
娘がいじめられているなんて。
ーーーいじめが始まったのは一年前の中学ニ年生の時期だった。
クラスの中でも、女子のリーダー的存在である山口奈緒ちゃんという子に目を付けられたことから、私の生活はすべてが変わっていった。
私をいじめる理由は単純だった。
奈緒ちゃんが好きだった、バスケ部の北村先輩という人が、私のことを気になっているということが、気に入らなかったらしい。
当時そんなことを知らなかった私は、突然いじめが始まって何が起きているのか、まったく分からなかった。
「ビッチ」
「男好き」
突然奈緒ちゃんとクラスの女の子四人程のグループに囲まれそう言われた。
私は何のことか分からなくて、冗談かふざけてるだけなのかなと思い、戸惑いながらも笑顔を作った。
しかし、彼女達は更に続けた。
「は?何笑ってんの?」
「人の好きな人取って楽しい?」
「色目使ってんじゃねーよ、ブス」
そして近くの池に私は突き飛ばされた。
私はびしょびしょになった自分の制服を見つめながら、頭が真っ白だった。
何か奈緒ちゃん達の気に触ることをしたのだろうか。
私はあまり気が強い方ではなく、誰かと喧嘩をしたりすることも無いので心当たりが無かった。
何がいけなかったのかな、そう思いながら更衣室に行き濡れた制服を脱いでジャージに着替えた。
とにかく奈緒ちゃん達に自分が何かしてしまったか聞こうと思い教室に入った。
すると一年生の頃から仲良しの麗美ちゃんが話しかけてきた。
「美空ちゃん何でジャージなの?」
「ちょっと躓いて池に落ちちゃって」
「そんなことある?」
ハハハ‥と笑いながら何となくさっきのことは言えずに誤魔化した。
「麗美〜、そいつと話したらビッチが感染るよ」
奈緒ちゃんがそう言い、周りの子達もクスクスと笑った。
私はこの時にやっと気付いた。
私はいじめられるのだと。
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