純白
バブみ道日丿宮組
お題:純白の錬金術 制限時間:15分
純白
「それってなにやってるの?」
少女が机の上を指差す。
「錬金術だよ」
「お金作るの?」
「いや……それは作れない」
愛想笑い。
「じゃぁなんで錬金術っていうの?」
「言葉がなぜ言葉っていうのかに近いね」
どういうことと少女が首を傾げる。
「説明できない物語があるということ」
「ふーん、お金できなきゃ興味ないや」
「お金以外なら大抵何でもできるよ。巨木が生まれる種、水の中で呼吸ができる雨、くまを呼ぶ笛、一時的に性別を変えるかつら」
つらつらと錬金術師は言葉を作ってく。そこにはありえないといえるものばかりが入っており、少女はより一層首を傾げた。
「なら、お母さんを探したりもできるの」
「できるさ。ただーー」
一呼吸。
「君の情報、経験が必要になるだろうね」
「そうなの?」
「そう。自分に関係することは自分でしか作れない」
だから。
「君が錬金術師になるしかない」
「簡単になれるものなの?」
「アイディア勝負。あとは感が鋭ければやっていける。商業ならもっといろいろしなきゃいけないけれど、君がお母さんを探す道具を作るということに特化するのであれば話は違う」
「ふーん。じゃぁやろうかな。教えてくれるの?」
少女が笑う。
「あぁ。そろそろ弟子が欲しかったところだからね」
ぱたんと本を閉じると、錬金術師は少女へと手渡す。
「これが教科書。載ってるとおりにいろいろ試してご覧」
「……ん。あれ、これ開かないよ?」
少女が力を込めて本を開こうとするがびくともしなかった。
「そこからがスタートだよ」
そうして、やがて純白の錬金術師と呼ばれる少女の特訓がはじまるのであった。
純白 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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