足の感覚

バブみ道日丿宮組

お題:かたい痛み 制限時間:15分


足の感覚

 引きこもり生活をしてるわけじゃないが、家からほとんど出ることはない。

 買い物は通販で、食事もデリバリーで届く。

 唯一外に出ることがあるとすれば、ゴミ捨てぐらいだろうか。

 だからこそ、身体の異変に気づくことはなくベッドの上で眠りについてた。

 それは違和感から始まった。

 足がなんか痛いなという些細なもの。

 トイレ行きたいということもあって、ベッドから降りると右足が動かなかった。

 力が入らないというか、そこに足の感覚がない。じわじわという血の脈動の痛みは感じるのに、あるはずのものがない。膝を曲げることも、伸ばすこともできない。

 これはひょっとしてやばいのでは? と思いつつもにやけてしまう。

 まだ自分は人間なんだってちょっと感動した。

 数分苦戦してなんとか左足だけで立ち上がる。よくよく考えると、立ち上がらなくても這いずくばってトイレいけばよかったのではないだろうか。

 なんにしても左足でジャンプしながらトイレに到着。

 用を足して、落ち着く頃には右足の感覚が復活してた。

 立ち上がり、水を流して、外に出る。

 うん、いつもの変わらない足だ。

 起こったことはいったいなんだったのだろうか。神経が終わったわけじゃないし、ちぎれたわけでもない。

 動かなくなったのはほんの数分。寝てる間に何があったのだろうか?

 血の脈動から察するに圧迫されたということだろうか。いや……普通に寝ててそれはないであろう。血管を圧迫する寝方なんてしてないし、抑えて寝てたわけでもない。

 ベッドで長い時間を過ごして発生したエコノミー症候群とかだろうか? 時間にして14時間はベッドの上でなにかしてる。それ以外はパソコンで少ビジネスをしてる。

 時折身体のストレッチぐらいはしてる。

 じゃぁなんだっていうんだ。

 わからない。

 対策のしようがない。ただわかることがあるとすれば、手すりを用意するか、誰かに連絡できるように携帯電話を枕元においておくということだ。

 音声認識で扉の鍵をあけることはできる。救急搬送も問題なくできるだろう。

 ……足が動かないから呼ぶというのは大した度胸がなければ不可能であろう。それぐらいだったら、友だちか親を呼ぶのが正解だろう。

 はぁ……疲れた。

 体の痛みを感じるのは数年ぶり。怪我という怪我もしてこなかった。

 だからこそ、機械のようなものと錯覚してた。そうじゃなかった。それが素直に嬉しい。

 そうやって思考を走らせてると、外に少しは出ようと思い直したのであった。

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足の感覚 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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