バブみ道日丿宮組

お題:茶色い自動車 制限時間:15分


「相変わらず、歴史を感じる自転車だね。見事なまでの茶色」

「ただたんに掃除してないだけどね。ほら、擦ったら、元の色見えてきた」

「メンテナンスしないの? 錆ってあんまよくないでしょ?」

「自転車は消耗品のような感じだからいいかなって、最悪ギアとチェーンさえ錆びなきゃ問題なく走れるよ」

「確かにそこだけは錆がないね」

「そこだけは一週間に一回錆落とししてるよ」

「その思考なら、他の掃除もしていいと思うんだけど」

「ハンドルとサドルは拭いてるよ」

「それは見ればわかるけどさ……それでいいの?」

「いいんだよ。新品の自転車はいたずらされたり、盗まれたりするからね。つまり、きれいなほど、人目を引くということ。だから、これぐらい年季が入ってればいたずらする気なくすでしょ?」

「学校の中でそんな事できる人が果たしているのだろうか」

「被害がでたら、朝の会とかで言われたりするかもね」

「そうじゃなくても学校の評判悪いんだから、少しぐらい普通アピールしようよ」

「別に学校の評判が悪いのは関係ない。わたしはわたしであることを続けてるだけだから」

「いいならいいけどさ。幼馴染のあたしからすると、悪く言われるのは腹が立つんだよね」

「ありがとう。でも、気にしなくていいよ。いじめられてるわけでもないし」

「グループに入れてないだけっだけ?」

「そう。1人でいることを選んだだけだよ。それにあなたがいてくれるでしょ」

「クラスが違うから、あまり組んであげられないけどね」

「修学旅行で同じ部屋だったときは、かなり助けられたよ。さすがにあの空間で1人ってのは周りにも影響がいくからね」

「最後の方、みんなと話してたよね。あれが普通だったらいいんだけど」

「あのときはそう……浮かれてたからってのもある。普段のわたしだったら、信じられない行動だったよ」

「できることなんだからもっとオープンにしてもいいんじゃない」

「わたしらしさってのを大事にしてるの」

「まぁあたしのことじゃないから強くは言わないよ」

「じゃぁ帰ろっか。待っててくれたんでしょ」

「そうだね。暑い中下駄箱で待ちぼうけしてたよ」

「ジュースおごってあげたんだからいいでしょ」

「別に要求したわけじゃないけどね」

「こいつ。頭が高い」

「高いのはそっちでしょ。高貴な存在のように過ごしてるし」

「そう見えても平民様だよ」

「あは、行こっか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る