Le Pape of Judgment

海澪(みお)

第零話

 降り頻る雨、濡れる草木、濡れて重く張り付く服。あぁ……その全てはどうでも良くなった。荒れる息を整えるために深呼吸を繰り返す。頭は冷えている。だが代わりに心はなかなかどうしてこの空模様と同じようにどんよりとしているのだろう。


 「……………………あぁ……そっか…………」


 もうすでにわかりきっていた。わかりきっていたことなのに自分はーーーーーー


 「………………憎悪を抱いているんだ」


 べちゃっと雨でかなり泥濘ぬかるんだ地面にそのまま崩れるように座り込む。


 けれど、どうしてなのだろう。涙が出てこない。悲しいとわかっているのに、なくことができない。自分はこれほどまでに冷たかったのだろうかと疑問を抱くほどに。


 「…………喪った。何もかもを………どこで間違えた?どこで………」


 茫洋とした面持ちで地面を見つめる。この感情はなんなのだろう。なんとも形容し難い感情が心を支配しつつある。そして…………決意する。


 「………許しは與えない。ボクを貶めたケジメは払ってもらわなくちゃ……ね」


 どんよりとした空を見上げる。今どんな顔をしているかは定かではない。けれど、口角は上がっていることは間違いではないだろう。そうしてボクはーーーーーーーーー私は壊れていった。


 「           」


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