口下手な彼女と付き合う僕には、推理スキルが要求される。

比呂太

あらすじ(ネタバレ含む)

 主人公の男子高校生・葉山はやまのもとに届いたラブレターには差出人が書いていなかった。

 口下手な差出人の女子高生・塚瀬つかせは、わざと差出人を書かずに、少しのヒントや状況判断力だけで、自分にたどり着ける人物を探していたのだ。

 その真相にたどり着いた葉山は、ルックスの良い塚瀬に惹かれて告白を受け入れ、恋人となることを選択する。

 付き合ってからも塚瀬は、幾度も葉山に謎を提供する。ある時は『めん』と書かれただけのメッセージ、またある時はパソコンのパスワードから。

 そんな謎を着実に解明していく葉山にも、ある日解けない問題が発生する。

 それは塚瀬と父親との間にある、わだかまりについてだった。父親について質問をしても、いつも塚瀬は拒絶の姿勢を見せた。

 それに解決の糸口が見えたのは、塚瀬の姉を同伴させてのアウトドアイベントの時だった。塚瀬の姉から、二年前に起こった父親との確執についてを聞いた葉山は、その当時の状況や、今までの塚瀬の言動から、単なる聞き間違いによる軋轢なのだとつきとめる。

 普段単身赴任でイタリアにいる塚瀬の父親が帰ってくる日を狙って、葉山は塚瀬の家へと乗り込み、事の真相を推理を交えて明らかにする。

 その結果、塚瀬と父親との間の確執を解消することに成功する。

 しかし、葉山はその過程で気付いていたことがあった。最初のラブレターに差出人が書いていなかったことや、推理力が必要とされたことは、全てこの父親との確執を解消する人物を探すための、オーディションのようなものであったことに。

 入口はそうでも、長い時間を過ごすうちに、葉山と塚瀬は互いに大切な存在へと関係を変えていた。二人はこれからも、一緒に時間を過ごすことを約束したのだった。

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