じいちゃんと葬式の思い出①

 今までで親族の葬式に行ったのはじいちゃんの時のみ。

 本が好きな私のために、本をよく買ってくれたじいちゃんだった。

 電話するとき、私の体調だとか成績()だとかよく気にかけてくれた。今思うと孫の中ではけっこう可愛がられてたんじゃないか。

 厳しかった覚えもあるけど、嫌いじゃなかった。

 じいちゃんは医者だったけど、結構進行したガンで死んだ。

 「自宅で死にたか」って言ってホスピスとか行かなかった。

 みるみる弱って、痛がって、死に近づいているじいちゃん。威厳があって誇り高いじいちゃんを覚えてる私たちはかなり辛かった。

 訪問してくださった看護師さんたちはじいちゃんを丁寧に看護し、家族の私たちにも温かい言葉をかけて心を支えてくれた。

 で、じいちゃんは苦しんでそのうち死んだ。私はじいちゃんが死んだ時泣かなかった。

 「人の死ってこんなにあっけないんだな」とふっと思ったきりだった。

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