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‐5‐

 とある時代の、とある大陸。

 その日、世界は歓声に包まれた。

 かつて、一つの王家が一夜にして滅亡した。

 目が。耳が。口が。皮膚が。鼻が。挙句その魂までが。

 病に侵され腐り果て、集う蝿に犯され、産声を上げた蛆に貪られ、その死骸をただただ晒した。

 男がいた。女がいた。老人がいた。赤子がいた。

 王がいた。騎士がいた。使用人がいた。

 多く、ひたすら多くの命があった。

 その悉くが──一夜で死に果てたという。

 それを成した《疫病》と呼ばれた悪魔による恐怖と支配の続いた歴史が幕を下ろしたのだ。

 たった一人の勇者の誕生とともに。

 後の歴史にも語られる、決して忘れられることのない英雄の名は──





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