空奏多の一日

@sorano_alice

第1話 空奏多の一日目

 ここは月星女子高等学校。空奏多(そらかなた)はその高校二年である。4月後半から事件に巻き込まれていたが無事解決し、今に至る。以前とは違う新しい友達もできた。


 畑礼奈(はたけれいな)ちゃん。いつもせーちゃんと言うぬいぐるみを持っている前までは友達じゃなかったけど今となっては友達になった一人だよ。


「おはよう、礼奈ちゃん」


「おはようございます、奏多さん」


 せーちゃんも礼奈ちゃんも可愛いなぁ、まるでお人形さんみたいだなぁ。


「今日も書道の部活かな?」


「うん、今日は字を提出して応募しないと」


 まだ私には完全に心を開いてくれているかはわからないけれどそれでもこうやって話しているだけでも心が落ち着くなぁ。


「おはよー!」


 朝から大声で挨拶してきたのは青髪の短髪の少女、鳴海沢南(なるみざわみなみ)さん、ほんとにこの人は声のボリュームが大きいなぁ…礼奈ちゃんが警戒しちゃってるよ、特に悪い人じゃないんだけどね。


「おはよう、南さん」


「おはよう奏多」


 南さんはせーちゃん、ぬいぐるみをちらちら見てる、気になるのかなぁ、こんな感じで他愛もない朝礼前がいつも通り続くのであった。



 今日の南さんは部活が自主練らしい、ちなみに南さんはテニス部、私は弓道部である。サーブの練習ばかりさせられるという南さんには南さんの気持ちがあるのだろう。あまり乗り気ではないらしく私の弓道部の見学をすることになった。


「あ、クッキーを持ち込むのはやめてね?」


 見学といっても南さんが大人しく見ているようには思えないけど


「よく狙えるわよねぇ、私にも撃たせなさいよ」


 弓道は思っている以上に腕力が必要である、下手に持たせることは危ないこと、被害者が出る可能性もあるほど危ない持ち物といってもいいのだ。


「思ってる以上に使いにくいものだからね、それは難しいかなぁ」


「まあいいわ、見てるだけでもスカッとするわ」


「見学といっても弓道部は部活時間が長くなったからもうちょっと時間がかかるけど大丈夫かなぁ?」


「問題ないわ、その方が好都合よ」


 なにか嬉しそうに南さんは結局最後まで付き合ってくれた。


 あと一時間、校内下校ギリギリまで自主練はできるけれど私はそんなに上手いほうでもなく、中の上くらいで南さんを待たせるのも申し訳ないので切り上げることにした。


「あら、もういいの?まだやってる人いるわよ」


「後はしたい人がするって感じかな」


「つまり自主練みたいな感じね」


「まあそんな感じかな」


 もっとやっていてほしそうな雰囲気を出していたのは気のせいだろうか。


「それじゃあ遅いし帰ろっか」


「今日はせっかく弓道を見せてもらったし私が奢ってあげるわ」


 別に奢られるほどのことはしてないんだけどなぁ。



 ラーメン屋、ほんとに南さんは奢ってくれた。正直ラーメン屋はほとんど行かないので何を頼めばいいのかわからないし安いのにしなくていいとまで先に言われてしまった。まさかラーメンを食べてから払うのではなくて、券を買ってから払うシステムだったなんて。詳しくないのでよく耳にする醤油ラーメンを、南さんはネギラーメンを頼んでいた。あれ、もしかして今の流行ってネギラーメン?


 更に替え玉というよくわからないシステムがあり、もう1玉頼めるらしい、そんな大食いな人なんて限られてい…


「替え玉ー」


「食べるのはやっ」


 もしかして南さんってすごく大食いなんじゃ…


 店主曰く南さんは他の人ともよく来ているらしい、その人は豚骨ラーメンを食べるらしい、ネギラーメンが流行というわけではないのかな?聞いた感じ南さんの相方らしく要するに恋人がいたなんて、確かに南さんの性格なら誰とでも打ち解けあいそう。


 この醤油ラーメン、予想の3倍は量が多い、全部食べられなかったら失礼だし替え玉なんて私には到底、南さんなら大食いだから使ってくれるかも


「南さん、私の替え玉使っていいよ」


「ほんと、使っていいの?」


「うん、私小食だから」


「替え玉ー」


 やっぱり南さんは大食いだ。南さんとご飯を食べるときは予想の3倍を意識しておこう。


 ふぅ…なんとか全部食べれた。南さんはまだ食べれる表情だ。恐るべし。


「今日は美味しかったわ、やっぱり一人じゃないご飯は美味いわー、あでゅー」


「こちらこそありがとう、って行っちゃった」


 もう9時前、ようやく家に到着です。

 すると一本の通知が届いた。礼奈ちゃんからだ。


『南さんと友達になれるかな?』


 私は迷わずこう返した


『うん、きっとなれるよ♪』

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