シーツにちん毛が挟まってる。

牛歩童子

本文

 シーツにちん毛が挟まってる。

お下品で失礼。

とある人のネットに浮かぶエッセイを読み、エッセイを書きたいと思った。

しかし、書き起こす程の面白いものがなにもなく、なにかないかと探していたら見つけたものがこれであった。

ちん毛がシーツに絡んでた。

まともに書けそうなのがこのくらいなので、このことについて詳しく書いて行きたいと思う。

よければ付き合っていただきたい。


 私がこの様子をみたとき、最初に感じたことは嫌悪感であった。

まさか自分の使っているシーツにちん毛が付いているとは思いもよらなかったからだ。

しかもよく見るとウジャウジャと。

気持ち悪い。


 ともかくそのままでは体裁が悪いので、シーツからちん毛を抜いていく。

どうやら深く絡まっているようで、予想していたものより長いものが出てきた。

くるくるした、ちぢれ毛だ。

私の髪は真っ直ぐとしている。

なのに陰毛はぐにゃぐにゃしている。

不思議である。

もしかしたらこれはなにか意味があるのかもしれない。


 話は大きく脱線するが、どうしてちん毛はフワフワしているのか、気になって考察してみた。

そしたら驚きの事実にぶつかった。

陰毛はクッションだったのだ。

皆さん、脇毛を剃ったことはあるだろうか。

私は自分の脇に毛が生えることが恐ろしくなり、一度剃った経験がある。

その経験から言えば、実は脇毛は剃らない方がいいのだ。

なんと剃ったらチクチクする、チクチクするのだ。

私の勝手な想像だが、これは恐らく、坊主の剃りたて頭がチクチクするのと同じ理屈だろう。

生えたての毛は直毛で、硬いのだ。

それが脇で擦れる度、チクチクと痛みが伴うのだ。

これでは腕を思いっきり振るのに邪魔である。

なので、脇毛は脇を傷つけることがないよう、フンワリとした天然パーマなのだ。

恐らく、ちん毛も同じ理屈で螺旋状なのだろう。

男は走る時、性器を振り回す。

ぼろんぼろんと、それが動いているとき毛が刺さったら大変だ。

痛いですまない。

よくて気絶だろう。

ちん毛のフンワリ構造はその悲劇を防ぐのに一役買っている。

クッションがちんちんを優しく包み込み、ちんちんが傷つかないよう保護しているのだ。

しかも走る衝撃からも守ってくれる。

素晴らしい。

人類の身体の神秘をまた一つ解き明かしてしまった。


 そんななんの為にもならない考察はひとまず置いとくことにする。

こんな発見は誰も救わないのだ。


 ちん毛を抜き終わって、思うことがあった。

こんなにシーツに絡まっているのは何故なのだろうか。

私の昨晩の行動を振り返ってみた。

ちん毛を抜き、自慰行為をして、寝る。

なるほど、落ちる要因しかない。

では何故私はちん毛を抜いて自慰をしていたのだろうか。

恐らくストレスからだろう。


 実は私は大学生だ。

昨年末まで、見事大学に合格し、安堵の限りであった。

しかし、このコロナ禍である。

ずっと家に引きこもり、講義を受け続けていた。

これがとても辛い。

本来なら、私は今頃キャンパスライフを満喫していただろう。

こんな炬燵の中に寝そべってはいないはずだ。

他の人はどうしているだろうか。

もっと充実した生活を送っているだろう。

こんな自堕落な生活を送ってはいまい。

もっと、頑張らなければならない。

もっと、もっと。

そんな焦燥が私の中を緩やかに流れていく。

不満だらけなのかもしれない。

こんな生活に段々嫌気が刺してきた。

今頃私は、今頃私は、私は……。


 だから私はちん毛を抜いたのだ。

悪者の自分を痛めつけて、改心するよう。

きっと儀式に近いものだったのだろう。

毛穴から毒素を抜き取ろうとしたのだ。

無駄な足掻きだ。

そんなことしてもこの状況は変わらない。

そんなことは分かっていた。

でも抜かずにはいられない。

なにかをボコボコにしたかったんだ。


 他の人が、実はそんな僕ほどできていないかもしれない。

でも、例えそうであってもこの行為は続くだろう。

だって、最善でないと、思うから。

他の人と関わらなければ、普通を図るメジャーは手に入らない。

私はいい方がいいのだ。

成績も、カーストも、貢献度も。

でも他の人がわからない。

どこが基準値なのかがわからない。

それがたまらなく苦しい。

辛い。


 ちん毛を見て、大学の先生の講義を思い出した。

「人間ほど醜いものはないもの。」

先生が像を作る時、モデルの人を置かない理由だ。

最初、なにを言っているのかわからなかった。

でも、最近になって理解できた。

ちん毛をばら撒く奴の、何が素晴らしいのだろうか。

人間賛美は理想化した人間に送られるものである。

現実の、物体は対象外だ。

きっとイケメンだってそうだ。

こんなものに理想を持つなんてどうかしているのだろうか。


 でも、なんとなく嫌いになれないのも人間である。

なんだかんだ、人生楽しいことも多いのだ。

そんな悲観的になる必要はないだろう。

針の筵であった心を解放する事とする。


 この部屋に異性を連れてきたらどうなるだろうか。

汚いと、見下されるだろうか。

それとも気にされないだろうか。

童貞の勝手な考えであるが、私は見下されたいものだと思う。

やっぱり、理想を持って接してもらいたい。

人の関わりはやはり大切だ。

そんなものだと思っていては、つまらないだけだろう。

そんな理想論を胸に、ここで筆を置こうと思う。

荒唐無稽な文章ですまない。

お付き合いいただき、ありがとう。

できれば今後、人の付き合いが増えていくと嬉しいものだ。

フンワリと包みこむちん毛の様に。

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シーツにちん毛が挟まってる。 牛歩童子 @gyuho

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