【SW2.5】湯煙温泉ダンジョンアタック ~ポロリもあるかも~【リプレイ】
八幡@笑う酔いどれ亭
0.自己紹介からはじめよう!
九月某日。
キャラメイクを終えた3人のプレイヤーがじっとGMの準備が整うのを待っている。
くそー。なんでこんな日に限ってマシントラブルが発生するんだ!
起動しないパソコン! 思い出せないサブマシンのパスワード! とどめの落ちまくるオンセツール!!
そう。本日はオンラインセッションなのである!
GM:……はー。やっとどうにかなった。えーっと、皆さま、お待たせいたしました。なんとかセッションできそうです。
一同:おつー。
スピーカーの向こうから、プレイヤーの声が聞こえてくる。
中止もやむなしと思い詰めていたGMに投げかけられる言葉はやさしい。
……うう。すまねぇ。この恩はこのゲームで返す。必ず。主にエネミーの出目で。
GM:……こほん。気を取り直して、セッション開始とまいりましょう。では、まずは自己紹介からですね。準備が整っている人からどうぞ!
飛鳥→スージー:私からいきますよ!(びしっ)スージーです! ソーサラー2レベル、セージ1レベル、レンジャー1レベルの人間の女の子。16歳です。
GM:いいねー! ダメージリソース! どうして冒険者の道へ?
スージー:それを話すにはまず私の来歴を説明しないといけません。……まず、私はある貴族に仕える侍女の家の出です。同時期に生まれたミリセント様、ミリーお嬢様とは乳姉妹で、生涯お仕えすると誓っていました。そしていつか、一緒に冒険に出ようと約束を交わしていました。
GM:あれ……今回のメンツにはいない……よね?
スージー:はい。実は……私は手際が悪く、物覚えも悪く、不器用で、成人近くなっても冒険に出るには力不足でした。それに苛立ったミリーは私と喧嘩をして街を飛び出して、帰らぬ人となってしまったんです……。
GM:お……おう……初手からしんどいのがきたなぁ……。
スージー:私がちゃんと頼れる人間だったなら、ミリーは死ななかった。だから私は一年間猛勉強して、なんとか冒険に出られるレベルになって、ミリーお嬢様の代わりに広い世界を見ることにしたんです! この形見のナイフは、魔法の発動体でもあります。
黒羽:重いねー。
スージー:あと全く役立ちませんがカツラかどうか見分けられます! ぽんこつですが頑張りますよ!!
GM:役に立たない特技振ったのね!? 無理に採用しなくていいんだよ!? いいならいいけど!!
スージー:いいんです! 数少ない特技なので!
黒羽→ギル:……では次は俺か?
GM:お。呼ぶ前に次のやつが来たぞ。よし。そのまま自己紹介をどうぞ。
ギル:了解、俺はギル。まあ本来の名前は別にあるが、偽名を名乗っている。
GM:そういうタイプかぁ……(頭を抱える)。
ギル:ナイトメアの25歳男。プリースト(シーン)レベル2、ファイターレベル1の神官戦士だ。魔力撃を取っているから攻撃力もそれなりだと信じたい。当たるといいな?
スージー:きっと当たりますよ!
ギル:ふっ、まあ神のみぞ知るだろう……。
GM:シーン様のみぞ知る……か……。
ギル:知り合いに生き返った人が居る、罪を犯したことがある、始まりの剣を求めていた(いる)という経歴がある。知り合いに生き返った人がいるせいか、俺には生き残るという意志が希薄だ。そして俺は、神官であるにも関わらず、罪なき人を殺した罪人でもある。慈悲によっていまだ神官を務めてはいるが、な。始まりの剣があれば、俺の望みが叶うと考えている。望みは、秘密だ。お前達に迷惑はかけない。
スージー:ギルさん生き残らせなきゃ(使命感に燃えている)。
ギル:親に捨てられ、月神シーンの神殿で育ち、そのまま神官となった。当たり前のように信仰はしているものの、誰かに押し付けるつもりもなく、誰かの安らぎになる場所であればいいと考えている。弱者への慈悲を忘れない一方で、己が神官であることに疑問を抱く節があり、導き、確かな身分がある神官としての地位を利用することをあまりよしとせず、神官らしくない振る舞いをするようにしている。
柏原rk。:またしても重い……。
スージー:でもかっこいいです!
GM:うん。重いけど重いなりにかっこよくまとめてきたね。うむうむ。
ギル:ああ、そうだ、一応、迷惑をかけない範囲で異貌化している。以上だな。まあ、よろしく頼む。
GM:異貌化!? ま、まあ、パーティ内で認められてるなら、いっか……(ごにょごにょ)。
異貌化というのは、ナイトメアの種族特徴だ。魂が穢れているからこそ手に入れられた、もう一つの姿。すなわち、異貌化をし続けるということは、己が穢れているということをアピールすることに等しい。場合によっては、迫害されてしまうこともある。本来なら避けてしかるべき行為だが……プレイヤー間で相談し、理解が得られているのなら、不許可にする理由はないだろう。
特に今回はシティアドベンチャーじゃないしね。
GM:……よし。気を取り直して、最後ですね。トリ。頼んだぞ!
柏原rk。:トリだけに。
GM:トリだけに。
柏原rk。→トリノ:……トリノ。エルフ。見た目は25才くらい。技能は、フェアリーテイマー2、スカウト1、アルケミスト1。俺は非力だけど、手先の器用さと足の速さは自信ある。
GM:ふむふむ。やっとましなのが来たかな……?
ギル:これまでが重かったからな……。
トリノ:……本当は魔術師だったんだ。魔術師の一家だからな。……でも、俺より妹のほうが、魔術の才能に恵まれてた。
スージー:妹さんがいるんですね!
GM:ほ、ほう……(雲行きが怪しくなってきたぞ?)
トリノ:悔しかったよ。あいつは天才だった。周りに絶賛されて、俺はいつも比べられてたんだ。俺は魔術師にはなれない、って思った。魔術であいつには勝てない。俺は強くなりたい。あいつより強くなるのが俺の夢なんだ……まだ叶ってないけど。
GM:(みんなそれぞれに爆弾持ちかよ、という顔をしている)
トリノ:だから、家を飛び出した。人知れず錬金術の勉強をしてる。……あいつはきっと俺を探してる。けど、まだ俺はあいつに会う訳にはいかない。それと、森にこもっていたら、妖精が現れて、何故か仲良くなった。……妖精しか友達がいないとか言ってくれるなよ……。
ギル:大丈夫だ、俺は友達が居ない(いい笑顔だ)。
トリノ:おい。
スージー:ギルさんも、トリノさんも、私とお友達ですから大丈夫です!!
GM:気を使ってくれるいいパーティメンバーじゃないですか。よかったよかった。えー、こほん。私も自己紹介をしましょう。本日GMを務めさせていただく、八幡です。オンセでのGMは初めてだけど、まあ、どうにかなればいいな。で、今回遊んでもらうシナリオのタイトルなんですが——―。
GMはいったんここで言葉を切り、プレイヤーたちが目前にいないことを残念に思いながら、にやりと笑って、こう言った。
GM:「湯煙温泉ダンジョンアタック ~ポロリもあるかも~」だ!!(力を込めて)
一同:……は!?
うーん。いいリアクションだ。
GMは一人、ほくそ笑んだ。
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