サルカニ合戦 神様のお告げ編 その弐

むかしむかし、あるところにカニがおりました。

ある夜、カニの夢に神様が出てきて、こう言いました。

『明日、おにぎりを持って昔話村に行きなさい。 サルと出会います。』

『サルが、おにぎりとタネを交換しよう。と言ってきますから、

交換して、そのタネを庭に植えなさい。

水をかけながら、「ハサミで切るぞ。」と脅せば、すぐに実がなるでしょう。』


『わかりましたか?』


『むにゃ。。。はい。。。むむにゃ。。。。』


『困ったことがあったら、臼とハチと栗に相談しなさい。解決するはずです。』


『。。。はい。。。むむにゃ。。。。』



翌朝、カニは神様のお告げの通りおにぎりを持って、昔話村に出かけました。

ところが、いつまでたってもサルに会えません。

おかしいな。

神様のお告げ通りのはずだけど・・・?


夕闇が迫っています。

一日中歩いていたのでおなかもペコペコです。

おにぎりを持っていますが、

サルが持っているタネと交換しなければならないので食べるわけにはいきません。

カニは途方に暮れて歩いていました。


いつしか、昔話村の奥にある山の中腹の寺まで来てしまいました。

神様、もう一度出てきてくれないかな。

そう思って本殿に足をかけたその時です。

お寺の天井近くの梁にサルがいるのが見えました。


神様のお告げだとサルのほうから声をかけてくるはず。

カニは、サルが声をかけてくれるのをじっと待っていましたが、

なかなか声をかけてくれません。


カニはしびれを切らして自分から声をかけました。

『サルさーん!私のおにぎりとサルさんのタネを交換してください!』

そう言っておにぎりを高く上げて振りました。


しかし、サルはなにも答えてくれませんでした。


3匹もいるのに。です。


実はこのサル 

サルはサルでも『見ざる・言わざる・聞かざる』の三兄弟だったのです。

答えてくれるわけありません。


そしてカニさんは失意の中 帰路についたのでした。

めでた・・・くないかも?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る