第17話 ぴえんと鳴くは金の獅子
都内若者の聖地
「ぴえん」
「ぴえん」「ぴえん」
「む、なんだあの騒ぎ立てる派手な髪達は」
「忍くん知らないんスか?
あれギャルっスよ、俺マジ好みっス」
「ほう、ギャルか。」
あの派手な色、見覚えがあるな..。
..母上のよく拵える柴漬けの色だ、間違いない
「ぴえん」「ぴえん」
「ぴえん」「ぴえんぴえんぴえん」
「さっきから何だ、あの〝ぴえん〟とは。何かの暗号か何かであろうか」
「違うよ、流行り言葉ッス。
ギャルは流行り言葉を言いながら何かを呟く生き物なんスよ」
「呟く..流行り言葉をか?」
「違うっス、スマホでトレンドを呟くんス。」
「..ほう。」
雷神でとれんどを?
新たな物を好むという事か。
「それはつまり〝バズる〟という奴か?」
「そうそう、知ってるじゃないッスか!
スマホでトレンド呟いてバズらせるんスね」
「ぴえん。」「ぴえんぴえん。」
「……」
成程、つまりは彼女等が現代の架け橋..この時代の情報源だという訳だ。
「ギャル、恐るべし奴らだ..。」
「そうッス、ギャル最強ッスよ!
..でも一つ怖い事があるんスよね。」
「怖い事?」
「そうッス。ギャルは流行に敏感なんスけど、少しでも廃れた事を言うと鬼の形相で指摘してくるんスよね」
「ほう..それは困りものだ」
時代遅れを許さぬという事か..。
「まぁ平気ッスけどね!
例えば今はタピオカミルクティーが流行ってんスけど、それもあともう少ししたら...」
「……」
「ん、どうかしたんスか?」
「振り向くな、絶対にな。」
..成程、これが..鬼の形相というやつか。
「ちょっと忍くん、どうしたんス..」
「ぴえん。」「か?」
「寒皮殿..退くぞ、ここはマジぱおんらしい」
「ぱおんって..忍くんマジかよ!?」
「いいから退くぞっ!」
ギャル達は一斉に目を剥き攻めてきた。雷神をこちらに構えている、静止画を捉えて更に仲間を増やすつもりだ。
「ぴえんぴえんぴえんぴえんぴえんぴえん」
「ぴえんぴえんぴえんぴえんぴえん。」
「マジかよ、どこもかしこもギャルだらけだ。
..ちょっと嬉しいけど、言ってる場合じゃねぇけど..でもなぁ。」
「拙者がいこう、寒皮殿はこの比較的見つからないであろう物陰に身を潜めていてくれ」
「馬鹿なこと言っちゃいけないッスよ!
確かにここは忍くんが念入りに見つけてくれた比較的見つからない物陰ッスけど、表に出たら忍くんはどうなるんスか!?」
「……」
確かに拙者は忍ぶ専門、正面から向かって攻め入るのはそう慣れていない。しかしいくら比較的見つからない物陰に潜んでいようとも現状が一歩前進する事は決して無い。
「無謀といえば無謀だが、他に手が無い..」
「…そうだ、良い手があるッスよ!」
「何をするつもりだ。..雷神?」
そんな物を取り出して、一体どうするつもりだ
「俺たちも呟くんすよ!
#忍者、これで色んな人に呼びかける!」
「ほう、中々良い手だ。
〝#忍者〟で呟いてくれ、世界の人々よ!
我々は今、危機に瀕している!」
「上手い事バズらせて、救って下さいッス!
俺らの事を知らしめて、助けて下さいッス!」
#忍者 #現代に潜む忍者 で御座る。
今日の忍法
『令和的人海戦術』
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