第8話
「
「
まじまじと興味深げにアルスを見つめる占星術師をよそに、「お前は人間ではない」と宣告されたアルスは複雑な感情を隠せずにいた。
「そもそもお前は何故俺が人間ではないとわかるんだ。それに、さっきだって俺の考えていることを……」
「言わなかったかァ? ボクは国に雇われた占星術師だァ。これくらいなら造作もない」
どこか腑に落ちないが、アルスは納得せざるを得なかった。占星術師は続ける。
「さて、肝心のキミの職業についてだがァ……」
そうだなァ……と占星術師は悩んでいた。適正職がわからないというわけではなく、どう伝えれば良いか判断しかねている、アルスにはそう見えた。しかし、そうなる理由まではわからなかった。
「……よし、戦士ということにしておこう」
「ということに……? どういうことだ。えらく歯切れの悪い言い方だが」
すかさず疑問を呈したアルスに占星術師は応える。
「さっきも言った通り、キミは
「ニート?」
「……こちらの話だ」
なおも占星術師は続ける。
「というわけで、キミのその
「《力》を使いすぎると良くないのか?」
「未熟な者が強大な《力》を手にした時、およそ最後に行き着くのは破滅への道だよォ。ボクはそんな愚かな
淡々と述べる占星術師だったが、最後は少し物憂げに見えた。
「キミには、そんな運命を辿ってほしくないんだァ」
「
「もちろんそれもあるがァ、ま、老婆心ってやつさァ。こう見えて、結構長生きしてるからねェ」
占星術師は自虐的に笑ってみせた。目の前の男が何歳なのか、アルスには検討もつかなかった。自分と同じくらいと言われればそう見えるし、50過ぎていると言われれば、そうとも見えた。
「……さて、適性試験はこれで終了だァ。部屋から出るといい。また会おう」
適性試験の終了が告げられた。占星術師は座ったまま動かない。
「また会う?」
「この後の訓練、ボクが担当する」
「占星術師はそんなフィジカルなこともできるのか?」
占星術師から訓練の師事を受けることを告げられたが、アルスは今ひとつ納得できなかった。あまり大きな声では言えないが、体力に自信があるようには見えない。
「体力がなくともねェ、師事はできるのさァ」
また心を読まれた。
「キミのその《力》は
「……わかった、よろしく頼むよ」
これからの目標が定まり、道が定まったようにも思えた。アルスは席を立ち、占星術師がいる机に背を向けた。ドアノブに手をかけると、占星術師が声をかけた。
「必要はないと思うが、ひとつ誤解を解いておこう」
「なんだ?」
「ボクは男じゃあない」
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