第41話 第61回ワイスレ杯参加作品〜オペラとフランボワーズのソルベ〜
12月24日、夜、渋谷にある某ラグジュアリーホテルの最上階にあるレストランで、僕と彼女はクリスマスディナーを食べていた。
アミューズ、前菜、魚料理、肉料理……、とディナーのフルコースを経て、ラストのデザートを僕らは食していた。
デザートはオペラとフランボワーズのソルベ、つまりはシャーベットだ。
スプーンで掬って口に入れるたびに、ひんやりと甘く、サクサクとした味わいが口の中に広がる。
ソルベを口に入れながら僕は彼女に問いかけた。
「どうだい。ソルベは」
「ひんやりとしているわ。シャンパンで火照った体には丁度いいみたい」
「いいのか」
「いいわよ」
言いながら彼女は最後の一口を口に入れた。
すると、足元を何かを突かれた。足元を見る。
彼女の足が僕の足を突いていた。
なんだろうと思うと、テーブルの下からソルベの匂いとは別種類の甘酸っぱい匂いが漂ってきた。
これは。
僕は彼女に問いかけた。
「濡れているのか」
「濡れているのよ」
「先走りだな」
「先走りよ」
「楽しみなのか」
「楽しみなのよ」
「待ちきれないのか」
「待ちきれないのよ」
わかった。僕はそう言い、立ち上がった。
釣られるように彼女も立ち上がる。
「部屋に行こうか」
「行きましょう」
「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになった。
そして僕らはセックスした。
突発的テスト・試作短編・ショートショート小説集 あいざわゆう @aizawayu1
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