神経過敏
バブみ道日丿宮組
普段感じないものや、普段見えないものが状況が変われば、思うかもしれない。
朝この場所を通った時は何も聞こえなかった。
でも記憶にないだけで、少しくらい聞こえてたのかもしれない。
今は夜でそれに周りが何も見えないから、不安感のせいでただ神経が過敏になってるだけなのかもしれない。
だけど、耳元に何かの『音』が聞こえてくる気がする。朝は……こんなの聞こえなかった。
「……?」
試しに振り返ってみても、何も見えてこない。
人の気配は依然として、これっぽっちもない。公園に入ってから少しも変わってない。
「……」
いつもは公園の全てが見渡せるように照明が点灯してるはずなのだけど、今日は工事か何かで点かないらしい。
やっぱり気だけ、
「……はぁ」
周りが暗いせいだと、私は公園の細道をスマートフォンのカメラ機能のライトを頼りに出口へと向かった。公園から出さえすれば、街灯が全てを照らしてくれる。この不安感を消してくれる。
でも、私をあざ笑うように――音は変わらず聞こえてくる。こっちに近づく気配すらし始めた気がする。
だけど、
「……いないよね?」
もう一度確認するように今まで正面を照らし続けてたライトを後ろに向け、左右に向けた。そうしても音の正体はやっぱり見えなかった。
そもそもスマートフォンの光だけじゃ、正面も大して見えてない。
道を覚えてるから、こんな弱っちい光でも役に立ってる。立ってるのかな……?
「……はぁ」
馬鹿馬鹿しいってそう思い正面に光を戻すと、
『――ねぁ、お姉ちゃん?』
「い、いやああああ」
音か、声かしらないけど、冷たい何かを肌に直接感じた気がして、一目散に出口へ逃げるように走りだした。
「はぁ、はぁ……」
街灯のある公園の外に出て、振り返ってみると公園の中に黒い靄が見えた気がした。
神経過敏 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます