昆虫
バブみ道日丿宮組
お題:やわらかい蟻 制限時間:15分
昆虫
美学というのはわからない。
流木や、蟻の巣を固めたり、あるいは人間の欠損した一部であったりと、美学という名の芸術が存在してる。
僕の家にも大きな蟻の剥製がある。
かつて世界を混沌までお追い詰めた、赤蟻。通称赤い悪魔。ちなみに白い悪魔、戦車と普通の蟻はかなりいい名前をもらってる。
話がずれたが、僕の家にある剥製は、かなり柔らかい。
今週らしからぬ、名状しがたいマシュマロのような錯覚を感じ取れる。そこまでいうのであれば、口にしてみたらどうか遊びに来た友だちは度々口にする。
いったいいつから剥製になったのかはわからないし、剥製にするために作った化学物質が問答無用で体に入り、なんらかの病気を発症させるに違い。
そういうとじゃぁ普通の蟻を食べようかとそやつはいった。
冗談だと思い、ちゃんと料理して食べたら美味しいかもねと私は答えてしまってた。
それからしばらくして友だちが遊びに来て、いい贖罪である食材を持ってきたよという。
中身はなんなのかと見てみれば、パッケージされた虫の数々であった。あとはプラスチックケースに入った蟻。
正気かと私は疑ったが、友だちは笑ってほんとのうことだから、一度やってみたいって思ってたんだよね。
と手慣れた動きで台所へと向かってた。
そこからいろいろなことをやり、コロッケの中身であったり、トースとにかける粉であったり、かなりの原型がなくなった。
ここまで味がつけば、もう蟻じゃなくて食材でしょ。
友だちの言葉はわからなくもなかった。
見た目はモーニングセット。
いい匂いはしてるし、色合いもよい。
あとは……口に入れる勇気だ。
私が悩みに悩んでるほど、友だちは次々にフォークで口に持ってく。
その顔はとても満足してる用に見えてーー私も。
と口に入れて後悔した。
かなり虫だ。足だ。柔らかい。
主張が激しく、これの料理名はなんであったかという答えを導くのに10分を要した。
だかそれからは口が慣れてしまったのか、悪い感じの食事に思えなくなった。
そうして30分ほどをかけて、わたしたちは昆虫を食したのであった。
昆虫 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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