尾行

バブみ道日丿宮組

お題:黒尽くめの母 制限時間:15分


尾行

「何の集団なんだろうね」

「喪服ってことはお葬式にいくんじゃないかな」

「それにしても、黒すぎじゃない? あんなの喪服っぽさがない……というよりかは、コスプレ感のが強い。ゴシック的ななにか」

「子どもは私服っぽいしね。何かの制服なのかもわからない」

「デパートで働いてる人とか? 喪服のような黒服なんて見たことない。大体がオレンジとか緑とか明るい色だったとおもうよ」

「ゴシック専門店なんてものがあれば、まさに制服なんだろうけど、ここらへんにそんなお店があるって聞いたことはないね」

「あたしも知らないよ。ねぇ、ついていってみない」

「あの人に?」

「そうそう。ついていけば、何をする人なのかわかるし、仮に尾行がバレたとしても、正直になんのための服なのかが知りたかったって白状すればいい」

「発想を逆転させるとさ、普通に今聞いてしまえば簡単で楽なんだと思うけどなぁ」

「それはつまらないじゃない。もし謎の組織だった場合、ごまかされるだろうし、顔を覚えられてしまうかもしれない」

「映画の見過ぎじゃないかな。そんなことがそうそうと起きてしまったら、この世界はだいぶ歪んでると思う。第一に子連れってのがわからないし」

「英才教育したパーフェクトチルドレンなのかもしれない」

「元気満点の姿を見る限りじゃ、ぼんぼんな感じで教育を受けてるような感じはないかな。のびのびと成長させてる。一般家庭が正解に近いと思う」

「夢がないわね。あたしたちのデートのイベントとして追いかけるわよ」

「君がそう言い始めたら、もう決定事項だからね。付き合うさ」


「ここらへんはラブホ街だよね」

「今度一緒に入ろうと思ってたんだよね」

「看板見過ぎでしょ。入ってあげてもいいから、今は親子を見なきゃ」

「ん。えっと、まさにラブホという感じのピンクがたくさん装飾されたラブホに入ったわね」

「これは答えで言うならば、親子ではなく恋人ということだったのだろうか」

「少年だったよね?」

「いつまでも少年でいたいって心境であんな服を着てたのかもしれない」

「はぁ……なんか興ざめした。あたしたちも入ってスッキリして帰ろう」

「わかった。今日はいい道具持ってきてたんだ」

「げげげ。マニアックなのはよしてよね」

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尾行 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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