くさとはな
バブみ道日丿宮組
お題:明るい草 制限時間:15分
くさとはな
「帰るとき便利だよね。ライトアップ」
「ライトアップしたくてしてるわけじゃないと思うけどね」
「草だものね。生きてく上で光る必要があるから光ってるんだよね」
「風で種を飛ばすのもそうだね。この草の場合は、光って虫を刺激して集めてるみたい」
「でも、どうして草が光るんだろうね」
「そこらへんは詳しくはないからわからないけど、ホタルみたいなものじゃないかな。あとはブルーライトで光ったりするやつとか」
「ふーん。今度図鑑で調べてみようかな」
「そうだね。そうしたら、草じゃなくてちゃんとした名前で話すことができるようになるね」
「でもさ……草は草っていいそうだよね」
「たんぽぽであってもひまわりであってもきゃべつであっても、草は草だからね。葉っぱが大きいか、花が大きいか、色鮮やかか。そのぐらいしか違いはないよ」
「花は花じゃないかな? 草はほらあまり花がないやつ」
「雑草であっても、花はあるものだよ。だからといって、それが花なのか草なのかを決定づけるかは怪しいところだと思うけれども」
「もう少し知的な会話したいね。草だと、まるで小学校の生徒みたいな会話じゃない」
「小学生であっても詳しいこは詳しいけれどね。花の図鑑持ち歩いたり、昆虫博士がいたりと子どもは結構知識深いよ」
「たしかにそうだね。あなたも昔は博士って呼ばれるほど博識だったし」
「単に本を読み続けてた結果だけどね。誰でもわかることを誰よりも早く知ろうとしたという結果だよ」
「なるほどね。あのときはとても輝いて見えたよ」
「今は輝いてないって?」
「そうでもないね。大賞をとって表彰されたし、世界に名前が知れ渡った。十分な成果だと思う」
「それも当たり前のことを当たり前の手段で当たり前に伝えただけなんだけどね」
「その当たり前ができるできないで才能があるないって言うんだと思うよ。少なくともわたしには真似できない。特にこの国にある図書館の本を全部読むなんてことは無理だよ」
「気づいてたらそうなってただけであって、別に狙ってそうしたわけじゃないよ。本が好きだったこともあるけれど、知りたいって気持ちが永遠と続いたんだ」
「すごいよね。尊敬しちゃう」
「君も負けてないと思うけどね。みんなのお母さんだものね」
「わたしには子どもの相手しかできないから」
「大丈夫だよ。もっと大きくなったら、大人の相手もできるようになる」
「そうかな?」
「そうだよ。だって、僕の幼馴染だもの。優秀に決まってる」
「優秀な人の周りに優秀な人がいるってことはないと思うけどな」
「少なくとも君は違うと思うよ。僕の話を真剣に聞いて理解しようとする。それは他の人にはない強さ」
「だったら、いいな」
くさとはな バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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