昼の夜

バブみ道日丿宮組

お題:昼の夜 制限時間:15分

昼の夜

 ーー夜。

 

 それは冷え込む時間帯のことをいう。

 この国では太陽が昇らない。

 だから、夜でも昼でも見える景色は同じ。

 ただ昼の時間は暖かく、夜は冷たい空気が循環してる。

 太陽の光以外がこの大地の時間を設定付けてる。風が運んでくるともいわれてるが、詳細はわかってない。特別性も特に見つかってない。

 わかってるのは、動物も、植物も、私たち人間も、みな同じ時間を過ごしてるということ。

 陽の光を浴びなければ、免疫力の低下がーという問題を頭のいい人たちがいってるが、いまのところその影響は出ていない。

 食用の牛、豚、鶏。お米などの農作物。

 それらは陽の光がなくてもきちんと成長してる。

 ちゃんと、この国に順応してるといえる。

 それでも太陽はなければならないとも言われてる。

「……ふぅ」

 世間がそうであっても、夜空が好きな私からすれば、ずっと夜なのは嬉しかったりする。

 毎日学校に行くときに星が見えるなんて、素敵じゃないか。

「ほら、空ばっかり見てると危ないよ?」

「う、うん」

 手を引かれ、私は横断歩道を渡る。

 温かみのある手は幼馴染のもの。いつもこうして私を引っ張っててくれる優しいもの。

「今日は流れ星が見えるんだから、学校楽しみだね」

 夜出かけてる理由はそれだった。

「朝でも見れそうな気はするんだけどね」

「夜だからこそロマンチックがあるんだと思うよ」

 そういうものかなと幼馴染は唸り声をあげる。

「お願いごと決めないとね」

「叶う夢ならすぐ叶いそうだけどね」

 笑いあうと、私たちは足を学校へと向かわせた。

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昼の夜 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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