老人

バブみ道日丿宮組

お題:狡猾な帝王 制限時間:15分


老人

「帝王はここに降臨する」

「また変なこと言って……今度は何のアニメを見たの?」

「現代から中世に異世界転生する話」

「チート能力に目覚める系の話?」

「うーん、ちょっと違うかな」

「それだったら、弱転生じゃない。意味がない主人公になってしまう」

「道中でね。レベルアップするんだ。それも帝王のもとで鍛えるっていう」

「それで帝王が出てくるのね。強くなれるの? 素質とか?」

「死にかけて、死にかけて、だんだんと身体が耐久できるようになって」

「なんていうスパルタ教育。でも、それって才能が少しぐらいはあったんじゃない? しらんけど」

「あるある。いろんな技術を毎回死にかけて覚えるから、なんか現実味があって面白いんだよね」

「まぁ……強くてニューゲームは好き嫌いがかなりでるものね」

「見てて面白くないよ。そういうのは。やっぱ頑張ったら頑張っただけ成長するのがいいんだ」

「その帝王って人はすごく強いの? それとも賢いの?」

「ただの老人だよ。元はどこかの王様だとかいろいろネットで考察されてるけど、僕はただの爺さんだと思ってる。帝王っていう名称はあるにしてもさ」

「ふーん。教える才能があったのかしらね。でも、死にものぐるいっていうんだから、教師という才能はなかったのかも」

「ちなみに爺さんは途中で死んじゃうよ」

「えっ? なんで? 寿命?」

「主人公の技を食らって、打ちどころが悪くてさ」

「なにそれ、ただの殺人じゃない」

「だからさ、爺さんの代わりに帝王を名乗ることにしたんだ」

「人殺しがまた酷く心変わりしたものだね」

「死ぬときに受け継いで欲しい。殺したと思わないで欲しいってのがあって」

「打ちどころが悪いはずなのに、ちゃんと喋れるあたり、創造物の範疇よね」

「幸い。帝王という名前が知られてるだけでその人物は特定されてなかったから、主人公は帝王になった。それからなんども死にかけてね」

「成長物の話か。それも好き嫌いあるね」

「主人公の心的にはさ、ぜんぜん成長しないから毎回大変なんだ。葛藤というか自分というか、争いに巻き込まれたくないとか」

「でも、巻き込まれちゃうんでしょ?」

「そう。世界の終焉を防ぐ戦いになぜか発生しちゃうんだ」

「なんか設定が大雑把すぎて面白いかよくわからないね」

「みたら、意外に面白いよ。今度一緒に見よう」

「いいけどさ、今は勉強しよう」

「うん」

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老人 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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