悪い天気
バブみ道日丿宮組
お題:部屋とYシャツと雲 制限時間:15分
悪い天気
「先輩好きです」
部屋に入れた途端、後輩がなにかを口走った。
「服洗うから洗濯機に入れろよ。着替えはーー」
「着替えは先輩のYシャツがいいです!」
「そんなもんきたら風邪引くだろ。常識を考えろよ」
いや、常識を考えたら、濡れたままの格好で俺の部屋にやってこないだろう。
「いいから、風呂もついでに入れ。沸かしてあるから、温まってこい」
「もしかして、先輩今日来ること知っててつけててくれたんですか!?」
「いつでも入れるようにしてるだけだ」
朝風呂、昼風呂、夜風呂。
いつでも風呂は気持ちのいいものだ。
「ほら、これタオルな」
「先輩がいつも使ってるやつがいいです。ほら、間接セックスっていうか、オナりたいです」
まじひくな。
親御さんもっとまともな教育をしてください。
「わたしがこうなのは先輩の前だけですから」
たちが悪い。
「いい加減にってーーここで脱ぐな。脱衣場で脱いでそのまま風呂にいけ」
「だって、先輩にはじめてをもらうなら……お風呂に入る前がいいかなって。それでそのまま一緒にお風呂に入ってーー」
「わかったから、いってこい。お前のわがままボディは、なにしたって目立つんだ。今更脱がれたところでどうということはない」
全裸は見たことはないがな。
「もーう、素直じゃないんだから」
からかうことに懲りたのか、後輩は脱ぎながら脱衣場へと向かった。
上下は水色のストライプの下着だった。
……いい趣味してる。
「……はぁ」
窓から見える空は、そんなストライプ柄ではなく、真っ黒な雲ばかりが広がってた。
これは結構な時間、2人で過ごすことになりそうだな。
誰か呼ぶか?
いや……気遣って逆にこないか?
2人っきりなのは何も今日はじめてってわけじゃない。あのときだって、このときだって、結構なタイミングであった。
なのにどうして今日はこんなにも胸がどきどきしてるんだ?
「……風邪かな」
きっとそうに違いない。
悪い天気 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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