退魔師がVRMMOで魔法王女のNPCになった

エデンの道のり

魔女復讐日記

あき、今日の学校はどうだった?」


 中学放課あと、わたしは迎えに来た兄さんのバイクの後ろに乗っている。


「なにもなかった」

「そっか」


 退屈だった。学校で学んだものに興味がないんだから退屈だった。それに、学ぼうとしても時間かかり過ぎだ、自分で本を読んだほうが早い。

 わたしにとって本の世界に飛び込んだほうがおもしろい。


 秋の到来を感じるような風が肌を刺す。

 相変わらずイギリスの秋は寒い。


「兄さんのほうは?」

「まあまあかな、今日は部活休みだし、ちょっと物足りないな感じ」


 兄さんは頭いいし、運動もいいし、友達も多いだが、わたしは一度も羨ましいと思うことはなかった。自慢の兄だって思うだけ、ただよかったなっと思っている。

 そこから憧れを感じなかった。自分の憧れる生き方はどこにあるだろうか? 諸々の世界を渡り、探すしかないか。


「そういえば、前に兄さんが告白した子とはどうだった?」

「いいや、まぁ、もう付き合い始めてるよ」


 見なくても分かる、兄さんの顔は赤くなっている。


「へぇー、そうなんだ、おめでとう」

「反応が薄いな、おい。でも、ありがとう。んて、あきのほうは友達できた?」

「いや、気が合う人はいないから」

「まぁ、あきは子供らしくないからな、気が合う友達を作れるならいいな」

「そうだね、造れるならいいのにね」


 そう、れるならいいのに、ねぇ。


「もう少し大きくなったら、友達できるかもな」

「そうだね」


 そのあと、会話がなかったけど、雰囲気悪い感じることはなかった。


 突然バイクが制御を失ったように暴れてあと、バイクと共に倒れて、膝と肘が地面に擦りむく。だけど、痛みはなかった。


「……兄さん?」


 首を回して振り返って見ると、そこにいるはずの兄さんは、どこにもいなかった……。





 子供の頃、夜になにも見えない場所で、懐中電灯を持て探索するのはわくわくするよね。

 ちなみに、子供の頃、私の初探検はフランスにどっかである地下墓地だった。


 こんばんは、魔女復讐日記へようこそ。

 ということで、○○トンネルのこと知ってる?


 五日前に○○県で三十〇歳の女性が子供と共に行方不明になった。前日にニュースでよく見られる神隠し事件。警察が五日間に探し続けていた。それでも、見つからなかった。

 警察によると、車がいきなりこの世界から消えたように、と……。



 ※



 ということで、私は○○県にやって来た。

 ○○トンネルの方向から、僅かの魔力を感じる。○○トンネルのところがあやしいと思っている。


 私はタクシーに乗って、魔力を追跡ついせきして、○○トンネルの入口にたどり着いた。

 ○○トンネルはもう誰も使わないから、入口の周りは道路に除いて、雑草に覆われている。

 入口いるだけで、一般人さえ違和感を感じるほどに魔力濃度が高い、やはりこの場所は異常だと思う。


 震えているタクシーの運転士さんをここで待たせてしまうのはかわいそうなので、彼を帰らせてもらった。

 そのあと、私はタクシーから降りて○○トンネルの奥に向かった。


 ○○トンネルの中に、電気が通っていないから、真っ暗だった。光がまったくないとしでも問題ない、私は暗闇の中でも見えるから。


 ○○トンネル奥のところに別の空間があった。それは間違えなくあいつら造った空間だ、獲物を閉じ込めるためにね。

 私は空間を割れて、中に入った。


 いきなり空気が変わった。別世界に入り込んだように、その空間に魔力が溢れている。

 空間の造りは○○トンネルとそっくりだ。だけど、出口に向かってどう歩いても近づかない。普通の人間が入ったら、外に出られるという希望を捨てたほうがいいだろう。


 私は魔力濃度高いところに向かって歩いて続けて、行方不明になった人たちの手掛かりを探していた。

 無音の世界に濃くて深い闇に浸されている。その中に、足音だけが響ている。湿気のある空気にカビとさびた鉄の臭いが混じり、奇妙な臭気を醸しかもし出している。


 しばらく手掛かりを探す続けていたところで、地面に奥に延びた血痕があった、まるで誘われるように。

 この世界の主人は私の存在を気付いたんだろうか。あのとき、周りの魔力濃度高めていく、おそらく獲物がこちにだんだん近づいてくるだろう。最初は相手は恐れなして、仕事がすぐに終わられるだと思っていたが……。


 奥に進むと、三メートル以上ある真っ黒な人のようなものが私の前に出た。

 あれはただの操り人形だろう、あのとき、親玉はもっと奥にいたことが分かった。奥に強い魔力が目の前の人形と繋がっている。

 親玉は私にあるほど近づいたとき、人形たちを出せると同時に奥のほうへ逃げている。


 私の身長くらいある長い腕がこちに振り下ろす……。



 ※



 ……人形をバラバラに壊した。壊したとき、人の手のようなものが落ちた。


 奥のほうへ走り続けたあと、トンネルの壁を壊して、壁の向こうに入った、親玉は向こうにいるから。


 みつけた。





 いつもそう、私は来たら、みんなは逃げる。退治するには苦労がかかる。


 悪霊退治完了。


 もう手遅れかもしれない。異空間の中に失踪した女性の車らしきものを見つけた。それでも、女性や子供は見つからなかった。


 車の残骸ざんがいを連れて、異空間を出たから、通報した。車を見つけたことを伝えた。


 だくさんの警察が来た、夜遅くなのに。手錠をかけられて、パトカーに乗せられたんだけれど。私、犯人じゃないのに。


 また警察署内の取調べ室に連れられた。また牛丼食ることができた……。


 いろいろ聞かれたけど、信じてくれなかったらしい。解放されたときはもう朝だった。





 ソファーに座って、ノートパソコンのキーボードを叩いている。


「終わった」


 ブログ書き終わった。机の上に置いてある黒猫のぬいぐるみに話しかける。


『おつかれさま』


 少女のような甘い声が頭の中に響く。ラップトップを閉じる。


『予定通り、原因分かるまで、しばらく休んでほうがいいわ』

「分かった」

『そろそろ準備しないと遅刻するわ。もうすぐ約束の時間だもの』


 突然スマホからアニメソングが鳴り響く。静かな部屋に響き渡っているのは、テレビでやっている、少し前から大人気になった魔法少女の主題歌。


『あら、ちょうどいいところに、明音あかねからじゃないかしら?』


 手を伸ばして、机の上にあるスマホをとった。


『おはよー、お兄ちゃん。キャラクター作り終わった?』

「まだ作ってない」

『もー、今日は一緒に《パラディ》やる約束したてしょー。』

「ごめん」

『はぁ……しょうがないなぁ、もー。お姉ちゃんと教会の前に待ってるから、早く来てね!』

「分かった」

『それじゃあ、まだあとでね』

「うん」


 電話を切る。


 黒宮くろみやさんの会社に作れたフルダイブ型バーチャルリアリティオンラインゲーム、名前は《パラディ》。

 今日は正式サービス開始の日。明音あかねと彼女の姉さんはβバージョンときから、もうやっているβプレイヤー。


『少しの間寂しくなるわ』

「……」

『……クスクス、冗談よ。彼女たちに付き合って、どうせしばらく暇だしね。いってらっしゃい』


 立ち上がって、ベッド隣りで、脇机わきづくえ上にある本体の電源スイッチを押して、VR機器をつけるあと、ベッドに寝っ転がり。


『読み込み中……パラディソスを起動します』


『パラディソスの世界へようこそ。初期設定のため、スキャンが必要です、仰向けでお待ち下さい。スキャンを開始してよろしいですか?』

「はい」


『スキャンが完了しまた』


 このあと、意識が遠のいていく……。






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