第8話・ピネリュエスピカの夜

 少し離れたところに、喧噪を感じた。

 一人になってみると、このアノウェイ族の特徴らしい大きな耳は随分遠くの音まで聞こえるのだと分かる。

 だから、思ったよりも人の騒ぎは遠くにあるに違いない。


 「……あなたは一体、なんなんだろうね」


 あたしは、邑の中央から山よりにある、カルヴァエルの整備場みたいなところに来ていた。

 カナ…カナルェティさんは愛称でそう呼んで欲しい、と言っていたからそうしている…に教えてもらったこの場所は、一人で来ると迷子になりそうな感じもするけど、来てみると、一人で来てよかった、と思えた。静かに、自分と向かい合うようにカルヴァエルと向き合えるからだ。…いや、こうしていると、向き合っているのがカルヴァエルなのか自分自身なのか、分からなくなる。

 カルヴァエルは、山裾の崖のようなところを縦に深く削った溝に埋まるような立った状態で収まり、その巨体のあちこちに人の手が届くように組まれた足場に囲まれている。なんでも出入りするときは足場ごと動かしている、とかなんとか。

 カナから話に聞いていたそんな光景を実際に見てあたしが思ったのは、ロケットの打ち上げ台みたいだなあ、ってことだった。


 「聞こえる?」


 別に返事なんか期待せずに問いかけてみた。当たり前だけど返事はない。ないんだけど、なんとなくカルヴァエルには聞こえているんじゃないか、って思えた。


 「あたしがこの世界に送り込まれたのは、あなたがいるからなのかな」


 だから、あたしは勝手に話しかける。


 「自分が何のためにいるのか、あたしは今までそれがよく分からなかった。多分だけど、どこかの誰かの意図が働いて、あたしはこの世界に来た。だから、それを見つけることが出来ればその誰かに感謝するくらいはしてもいいと思ってるんだけど。ねえ、カルヴァエル。教えて欲しい。あたしが何のためにこの世界にやってきて、あなたはそのこととどんな関わりがあるのか、ってことを、さ」


 (………)


 ため息みたいなものが聞こえた。ような気がする。

 思い過ごしか気のせいか。でもそれは確かに誰かの返事だった。だって。


 「……カナにこっちに向かった、って聞いたから来てみれば…何やってるのさ、ユズハ」

 「うん。まあ、昨日と今日であったいろんなことを整理したくて」


 誰かが近付いてきてるのは分かって、息づかいからヴレスとも判別ついたから、後ろから声をかけられても特に驚きはしなかった。アノウェイ族の耳に、感謝。


 「かなりボロボロだね」

 「まあね。我ながら無茶したし、それ以前にかなり痛めつけられたから」


 ヴレスと並んでカルヴァエルを見上げる。

 修理は明日からやるということで、今日のところはバナデスと呼ばれていた獣神につけられたキズや鎧の破損したところもそのままだ。


 「修理ってどうするの?」

 「そうだね。外装を外して、交換出来るものは交換する。動きとかは僕の見立てに従っておかしいところがあれば調べるけど、コイツとんでもなく頑丈で、今までのところ外装以外は直したことないからなあ」

 「そういうものかー」


 機械だったら歯車とかエンジンとかそういうものがあるんだろうけど、バナデスっていうやつがバラバラになってたところを見ても、そういう感じじゃない。かといって生き物みたいに血とか肉があったわけでもなく、なんだか宝石みたいに表面の整っていた石みたいなものが、ケーブルみたいなもので繋がって束になっていた、って感じだったし。


 「獣神とか機獣が動く仕組みって分かっているの?」

 「さあね。カナや技師の皆なら説明出来るかもしれないけど、僕は動かすだけだし。動かすっていうのは…これも説明が難しいな」


 あたしが何だか聞きたがっているのを察してか、ヴレスは自分がカルヴァエルを動かす時に何をしているかを、たどたどしくではあったけど説明してくれた。

 あたしが操縦席、って考えていたものは機関と呼ばれる人間が作ったもので、それを獣神に据え付けて何かと繋ぐと、人間の操作した通りに動くようになる、ってことのようだ。

 操縦桿や足で踏むペダルみたいなものだけであんな複雑な動きが出来ることがとても不思議だったけれど、その操作の仕方で人間の意図をある程度汲んでくれるみたいで、素人が思うほど難しいものじゃない、ってヴレスは笑っていた。

 それならやっぱりあたしが操縦することも出来るんじゃないだろうか。


 「オルクスに聞いたよ。ユズハが機獣の操作に興味持ってるみたいだって。でも無理だよ。機獣の機関は、形は同じだけど同じ操作をしても機獣の種類ごとにその結果は違うんだ。カルヴァエルを僕は操作出来るけど、同じようにしたってシルドラを動かすことは出来ない。それにね、手足を動かすだけじゃなくて、機獣には言葉で指示を出すこともしなければならないんだ。その言葉も機獣ごとに違う。全部覚えれば他の機獣の操作も出来るよ。理屈の上ではね。だから村の獣騎士がカルヴァエルに乗れるように試してみたこともある。でも出来なかったんだ。こいつ、どういうわけか僕の言葉以外は聞く耳持たないんだよ」

 「……さっき言っていた、繋がっている、ってことと関わりある?」

 「……まあ、きっとね」


 カナが見せた、難しい顔とは少し違う苦しそうなヴレスの横顔を見ると、「そっか」と納得するしかない。

 そしてそのまましばし、棒立ちで一緒に邑に一つしかいない機獣の姿を見ている。

 そうしたら、昼間話したことを思い出した。


 「ね。あたしが乗って動かすのは無理でも、ヴレスが動かしてあたしを乗せることは出来るでしょ?動いてるところに乗って、ヴレスがどんな高さで見ているか知りたい」

 「ええっ?……無茶言うなあ、相変わらず。きみって環の外でもそうだったのかい?」

 「誰にもある好奇心の賜物よ。それくらい出来るでしょ?」


 そんなこと邑で他に誰も言い出したことないんだけどなあ、とぼやきながらもヴレスはカルヴァエルを囲む足場に向かった。

 子供なら興味持ったりするんじゃないかな、と思いつつあたしも後に続く。

 足場を登るのはそれほど苦労はしなかった。階段は急だし狭いけれど、体力的にこの体は余裕があるみたいで、同じような所を日本にいた時の体で登るよりは多分平気だっただろう。


 「歩いたりするのは駄目だけど、動いているところの隣にいるくらいは出来るから。よっと…」


 そしてちょうど胴体の操縦席…機関、って言うんだっけ?そこの高さまで来ると、ヴレスは意味のよく分からない言葉で話し、それに反応したかのようにカルヴァエルの胸の装甲がパカッと開いた。操縦席に入れるような体勢になり、ヴレスは慣れた様子でそこに乗り込んだ。


 「…動けばいいんだけど。カルヴァエル、起動」


 そしてまた知らない言葉でカルヴァエルに話しかける。すぐ傍で見てるだけのあたしは、なんだか退屈になり。


 「…えいっ」

 「わあっ?!…ちょ、ちょっとユズハ、何するんだよ」

 「いいじゃない。見てるだけだとつまらないし。へー、なかなか良い眺めじゃない」


 操縦席に収まっていたヴレスの前に潜り込んだ。二人乗りするようなスペースが無いのは分かってたけど、前のところが開いてるんだから問題はない。


 「あ、あのさ…動けないんだけど」

 「それくらい男の子ならなんとかして。ほら、邑のあっちの方明るいよ。まだ何かやってるのかな」

 「男だから困るんだけどな…」

 

 耳元で困惑気味のヴレスの声。…あー、今気付いたけどこの体勢って男と女的には問題あるんじゃないだろうか。ヴレスのどこか汗のにおいのする体温を間近に感じて少しドキドキ…。


 (………)


 「……よし、これで動くよ。ユズハ、少し動かすから体浮かして…ああ、えっと一度出て」

 「えっ?…う、うん。出来たら手のひらに乗せてくれたりできない?」

 「注文増えたなあ、もう…分かったから出て」

 「うん」


 (……ずるい)


 「?ヴレス、何か言った?」

 「いや何も?それより足下気をつけて。踏み外したら真っ逆さまだよ」

 「分かってる」

 「あ、ちょっと待って」

 「え、なに?…わっ」


 足下に注意して足場に移ろうとしたら、後ろから腰を抱きとめられた。何するのよっ!…って抗議しようと思ったところで、カルヴァエルがミヨンミヨンて感じの音と共に動き出す。何か奥の方で力がうねっている気配がして、気がつくと装甲同士がぶつかり合う音共に、操縦席の前に大きな右手が伸びてきた。


 「手にのってみたいんだろ?いいよ」

 「あは、気が利くじゃない。ありがと」


 振り返って、間近にあったヴレスの顔に向け礼を告げると、ぷいと顔を逸らした様子を横目で見ながら、操縦席のすぐ目の前にあったカルヴァエルの手のひらに飛び乗った。

 畳一枚…より少し狭いくらい?の巨人の手のひらは、親指が少し曲げられていて体を支えるのにちょうどいい。あたしはそこに両手で掴まると、殊の外高さを感じる足下に少し腰が引けて立ち上がれなくて、ペタンと女の子座り。

 カルヴァエルの手は、手のひら側は装甲と同じような材質だけれど手のひら側は…なんだろ。ヒンヤリとした……ああ、表面がごわごわとした猫の肉球みたいな感じで、意外と手触りというか座り心地がいい。まあ武器を持って戦うんだから、自然と固くなっても不思議じゃないんだろう。


 「少し動かしてみるけど。どうする?」

 「う、うん。大丈夫。けど落とさないでよねっ」

 「分かってるよ。そんなことしたら後が怖いし」


 そもそも落ちたら大けがだか死んだりして後が怖いどころじゃないっつーの、と文句を言おうと思ったけれど、静かに動き始めた手にしがみつくのが精一杯で、そんな余裕も無かった。

 カルヴァエルの手はあたしを乗せたまま、足場の外側に伸ばされていく。

 あたしは「わっ、わぁっ…」とかへっぴり腰で親指を抱くようにして、腰掛けている場所ごと動いている、という新しい感覚を楽しむ…というには少し怖い。やっぱり落ちたら大けがどころじゃない、って高さで不安定なのは心理的にアレだ。


 (……大丈夫?)


 「うっ、うん…なんか慣れてきたから…問題無いと思う…」

 「えっ?ユズハ何か言ったかい?」

 「大丈夫、って言ったのっ!……あとそろそろ止めてくれない?」

 「もう腕が伸びきるところだよ。止めるよ」

 「ゆっくりねっ!!」


 これ以上ゆっくりなんか出来ないって、というヴレスのぼやきと共に動きは止まった。

 ちょうどカルヴァエルの腕が突き出すように伸びきったところだった。

 振り返ると開いたままの操縦席にヴレスがいて立ち上がったところだった。


 「どうだい?」

 「……ちょっと怖いけど、風が気持ちいい」

 「強がりも程々にね」


 強がりじゃないわよっ!…って怒鳴り返したいトコだったけど、それは既に強がりだよね、って返されるのが目に見えていたので黙っていた。風が涼しくて心地よいのは事実だったし、何よりも巨大ロボットの手にのっている、って状況に胸が躍ったからだ。

 どうもねー…これが男の子だったらロボットを操縦する方にロマンを感じるのかもしれないけど、あたしは手に乗せられている、ってだけでも結構満足してる。だから、シルドラでもいいから操縦してみたいなあ、って昼間は思ったけれど、ま、それはもういいかな。女の子的にはやっぱり、男の子の操縦するロボットに守られる方が何かとときめくと思うんだ。


 (ぼくが守るよ)


 「ありがと。あはは、そう言われるとけっこー乙女心的にはうずくものがあるってものね」


 「…さっきから独り言が多いよ、ユズハ。で、そろそろ片付けたいから戻すよ?」


 むー。せっかく浸っているところにヴレスも不粋なことを言う。自分の方からかっこいーこと言ったくせに、自分で台無しにしてどーすんのよ。


 「もう少しいいじゃない。やっと慣れて落ち着いてきたんだから」

 「きみが調子にのるとろくなことにならないんだってば。いいけど」


 文句を言いながらもヴレスは操縦を中断し、一休みするように座席の中で力を抜くように伸びをしていた。狭い操縦席の中でそんなことをすれば手足があちこちにぶつかるだろうに、お構いなしのようだ。ほんっと、大雑把っていうか考え無しっていうか。


 「……この辺は少し山に近いからね。邑を見下ろすことが出来るから、僕も時々眺めにくるんだ」


 そして、あたしと同じように腰を下ろしたまま、これも同じように灯りに照らされる邑を見下ろす。

 あたしは物珍しさから目を向けたままでいるけれど、でもヴレスはきっと違う心持ちなんだろう。当たり前のことだけど。

 そのまましばし、あたしたちは黙ったまま邑を眺める。

 灯りは邑の中央のところが一番大きくて、遠目には大きなものを積み上げてその周りで人が動き回っているようにしか見えない。もしかして拾ってきた獣神の部品だかなんだかを整理しているのか…って、そういえばヴレスが全部使い物にならないくらいバラバラにしたんだっけ。それでエムヤじーさんがヴレスを叱りつけてたんだ。

 だから何をしているのかまではよく分からなかったんだけど、それほど歩き回ってる人も多くはなかったから、忙しくて仕方がない、ってほどじゃないんだろう。

 そうね、もう夜も遅いはずだから、寝入った人も多いに違いない。そういえばさっき、カナにこの邑にどれくらいの人数の人がいるのか、って聞いたら、三千人ほど、って答えで、思ったよりも多いと思ったものだ。三千人もいたら大きな街とかそういうレベルなんじゃないだろうか。いや江戸時代の江戸で百万人とかって聞いたことあるし、それと比べれば少ないのか、とかごちゃごちゃしたことを考えているうちに、自分もその三千人の中の一人でいられるのだろうか、ってふと思った。

 そしたら、考えていたことをそのまま口にしていた。


 「……ヴレス。あたしさ、この世界でやっていけると思う?」

 「…………」


 返事がなかった。

 振り返ってみると、寝ていた。操縦席の中で。何考えてんの、こいつ。


 「……まあでも、あたしも同じようなことしてたんだし」


 意外と落ち着くのかもね、カルヴァエルの操縦席の中って。シートが固いー、とか言いつつあたしもいつの間にか寝ちゃってたし………って、おい。ヴレスが寝ちゃったらあたしここから降りられないじゃない!!


 「…ちょっと。ヴレス起きて。…起きなさいってば!あんたが動かしてくれないとあたし降りられないじゃないっ!」

 「………すかー」


 …寝息も聞こえるような見事な寝姿だった。暗くてよく分かんないけど、さぞかし無邪気な顔で寝ていることだろう。こんな状況でほっとかれたあたしの方は鬼の形相にならざるを得ないけど。


 「……くぉら起きんかいっ!!起きないとカナにあること無いことふき込んでやるわよっ!寝起きの顔を見られたとか!」


 それはあること無いことというか事実だったから、本当に告げたとしてもあたしとしては良心は咎めない。ついでにこの世界のてーそーかんねん的にどういう解釈がその話を聞いた人間になされるのか、そういった考察を伴わない雑な思いつきだったから、例えばブラコンの怒りがあたしに矛先を向ける可能性とか、そーいうことになったっておかしくはない。

 なので本当にやるつもりはなかったけれど、どっちにしてもヴレスが起きないとあたしはここから降りることも出来ないわけで、そろそろ投げつけるものでも探した方がいいんじゃないかと、思い始めた時だった。


 (……守るよ)


 えっ?……ヴレス?…の声じゃなかった。憎いあんちくしょうはカルヴァエルの手の上で投げつけるものが見つからないので着てるものを脱いでぶつけてしまおーかと考えているあたしの視線の先で、今もぐーすか寝転けてる。

 で、ヴレスじゃないとしたら他に誰がいるかっていうと……。


 「…まさか、カルヴァエル?あなたなの?」


 (………)


 明確な答える声があったわけじゃない。

 でも、巨人の胴体の上にあるその顔は明らかにこっちを向き、そして眼差しも存在感を持ち、あたしを認識しているのだと、それだけは確とわかり得た。

 カルヴァエルのその巨体に似合わず、頭部は実は小振りだ。むしろ肩の部分が大きいからそれは余計に感じる。

 そして顔のようなものが目立っているわけでもなく、頭部のサイズに比べれば長い、角のようなものが前後に二本生えた兜の方が目立つ。顔は前に鼻のようなところが突き出た、何か犬や狼にものを思わせるものがあるけれど、その部分だって体にまとう鎧と同じような材質で覆われていたから、実はカルヴァエルの「素顔」にまみえたことはまだない。

 けれど兜の奥にある双眸は、何度見たって何か生あるものの意志に似た光を湛えていたし、そして今はその光の強さがこれまでで最も強くなっているようにも思えたんだ。

 だからこそあたしは、カルヴァエルがあたしに向かって話しかけた、っていう想いを抱くことになったのだと言える。


 「あなたもしかして、あたしと話が出来るの?ねえ、もし出来るのなら教えて!あたしはあなたと出会うために、この世界に遣わされたっていうの?!」


 (………)


 返事は、無かった。

 もう一度同じ問いかけをしてみようかとも思ったけれど、あるいはカルヴァエルの方ではこれ以上あたしに言葉を告げられない何か理由があるのかもしれない。

 もしそうなら、あたしは彼に無理を強いていることになる。

 だから、カルヴァエルの手の感触をお尻の下に感じながら、応えを待つだけに留めた。


 (………)


 しばらく待ってみたけれど、やっぱり返事は無い。


 「…うん。何かあたしに伝えたいことがあるのは分かった。けどそれを今伝えることが出来ない、ってことも分かるから、あたしは待つね。そしてカルヴァエル。あなたにそれが可能となったのなら、いつでもあたしに教えて。そうしたら、あたしの方にも、いっぱい聞きたいことがあるから、教えてもらうわ。いい?」


 (………)


 頷いたように、思えた。

 差し当たって、今のところはこれでいいと思う。一気呵成に物事を推し進めたい気持ちもなくはないけれど、そもそも昨日から今日にかけて、人生における驚天動地の大変化が続いたのだ。これ以上イベントが続かれたら、あたしの方が参ってしまう。いや今の時点で相当いっぱいいっぱいなんだけど。


 これでお話はお終い、とばかりにカルヴァエルの瞳に色が薄くなる。もしかしてまた眠りについてしまうのかと思ったあたしは、ちょお肝心なことを思い出して慌てて止めた。


 「待って!…あの、一つだけお願い。話をする必要はないから、黙ったままでいいんだけど……」


 印象だけで言うなら、カルヴァエルが首を傾げたように、見えた。それはそれで可愛い仕草に思えてしまうんだけど、それは今は重要じゃない。

 今のあたしに一番大切なこと。それは。


 「……あの、そこの、ぐーすか寝てるアホの代わりに……あたしを下ろしてくれない?」


 ……その結果についてはさておき、しばらく後に、地上においてヴレスがあたしにはっ倒されたことだけは、事実として記憶に留めておくべきだと思う。双方のために。

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