到着!札幌運転所

 6時を過ぎていることもあって、札幌駅には通勤客が多くいた。

 そして、その多くが『北斗星』を物珍しそうに見ている。


 通勤客1「こんな列車見たことがない」

 

 通勤客2「乗れるかな?って、回送列車か~。」


 一応『北斗星』のヘッドマークをつけてはいるものの、この列車は回送扱いなので方向幕も〔回送〕にしている。

 

 子供1「北斗星だって。かっけー!」


 子供2「でも、こんな列車時刻表にあったっけ?」


 子供3「回送だからないんじゃない?でも、確かに国鉄の発表にこんな車両はなかったはず」


 撮り鉄1「初めて見る車両、しかも新造。苗穂から来たのか?」


 撮り鉄2「でも、さっきの車両と同じく工場の中にそれらしき車両はなかったじゃん。」


 撮り鉄3「もしかして、サプライズのために隠してるとか!」


 撮り鉄4「いや、それならもっと早い時間に回送されてるはず。こんな人に見られる時間帯を選ぶはずがない」


 撮り鉄5「出発予定が狂ったとかは?」


 撮り鉄6「それはわからんよ」


 撮り鉄たち「「うーん」」


 それもそのはず。この列車は本来、この世界にはいないはずだったから。  






 ミワ「準備はOKです。間もなく発車します」


 ゼロ「わかりました」


 ミワ「時刻は午前6時23分。全てに異常なし。寝台特急『北斗星』回送、出発進行」







     *       *       *







 ミワ「手稲到着。引き込み線より札幌運転所へ入ります」


 ゼロ「了解しました。」


 




 札幌運転所に入ると、職員に留置線に案内された。

 隣を見ると、すでに185系B5編成とDE10-1136が留置されていた。

 

 みんなが列車を降りる。


 ??「遠いところお疲れさまです。DD51形1100号機の御一行で間違いないでしょうか?」


 ゼロ「はい。間違いありません。私がゼロことDD51-1100です。」


 ??「私はここの職員の大井です。村山はいま用事があって出られませんので、私が代わりを務めます」


 ゼロ「わかりました」


 ??改め大井「それでは、案内します」


 


     *       *       *




 案内されたのは、いかにも現代(???)らしい無機質な応接室だ。


 中にいたのは、二人の男性だった。


 B5「よう」


 ゼロ「その声…あなたがB5さんですか?」


 B5「そうだ。お前らは『北斗星』の連中だよな?」


 ゼロ「はい。我々は寝台特急『北斗星』の最終編成です。」


 B5「やっぱりな。さっき、そこのおっさんに話を聞いたんだが、何やら面白いことになってるぞ」


 ゼロ「面白いこと…」


 大井「あの…そろそろいいでしょうか?」


 ゼロ「あ、いいですよ」




 大井「紹介いたします。ここの最高責任者、二戸です」 


 二戸「日本国有鉄道北海道支社札幌運転区札幌運転所所長、二戸三郎だ。よろしくな」


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